先日「にっぽんの温泉100選・人気温泉旅館ホテル250選」授与式に出席しました。毎年この場で会える温泉旅館ホテル関係者が多く、とても楽しみにしています。
久しぶりにお会いする皆さんが「若い子が続かない。3年もたないどころか、1年でやめていく。過大な夢を持ちすぎると続かない。体育会系の根性ある子が続く」といった話をされていました。私としては来年度からの跡見学園女子大での若い学生たちとの出会いに期待して、業界が活性化されるような人材を見つけたいと思います。
北海道養老牛温泉湯宿だいいち長谷川社長は「山崎さん、私たち温泉旅館は生き残りをかけて大変な時期にきている。だから厳しいことを書いてほしい」とおっしゃいました。そのお言葉をうけまして、忌憚なく。
団体客よりも個人客が主流となっていき、これからますます旅のニーズの細分化は免れません。1月発売の女性雑誌「CREA」の「楽しいひとり温泉」特集発売後、SNSで見る限りは30代、40代のおひとり温泉のニーズが増えていることは明白。一方、私のライフワークとして取り組む、高齢者に向けたバリアフリー温泉では3世代、4世代旅行が大変多いことも事実。加えて、いまはシニア層の女性総合雑誌で「母と娘で行く温泉旅」特集を書いています。60代の女性が高齢の母親を連れて行くことを目的とした特集で、その雑誌のメインです。「母と娘旅」も宿のネット商品として強いキラーコンテンツなのは周知の事実ですが、これまで以上に年齢層が高い母娘旅の形態もありそうです。また、どの世代の女性雑誌でも話題となるのは、身体を温める「温活」。滋養ある料理を出す2泊3日「温活・湯治」もこれから盛り上がるでしょう。
どんな層に来てほしいのか、どんな層なら喜ばれるのか、それを温泉旅館ホテル側から提案してもいい時期にきている気がします。
ただ、いきなり客層を絞ることには大きな決断が必要とされます。ですから、例えば「ひとり」「バリアフリー」「家族旅行」「母娘旅」「温活」「湯治」等のニーズのある言葉が入ったインターネット宿泊プランを作り、お客さんの反応を確かめながら、施設として何を求められているのか、どんなお客さんに支持されているのかを施設の皆さんが再認識をして、さらに好いてくれる人(お客さん)との相思相愛の強い関係性を築くことが、生き残る大きなカギになるでしょう。
(温泉エッセイスト)