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地域観光 ■第2812号《2015年9月5日(土)発行》    
 

観光版「薩長土肥」が発足
横断幕を持つ(右から)山口、尾崎、村岡、伊藤の各氏

 「ニッポンの旅の夜明けです!」——2018年に明治維新150年を迎えるのを前に、「薩長土肥」の知名度を生かした観光PRを展開しようと、鹿児島、山口、高知、佐賀の4県が「平成の薩長土肥連合」を結成、8月31日には4県の知事が集まり、都内で「盟約締結式」と記者会見を行った。明治維新同様、日本の観光に革命を起こすのか、“観光版”薩長土肥連合の成り行きが注目される。

 09年10月、観光産業の育成・強化を目的に鹿児島県観光連盟と山口県観光連盟が盟約を締結し、「薩長連合」を発足。両県での観光情報発信や観光客の誘致などを展開した。その後、明治維新150年に向けた連携拡大について高知、佐賀両県に打診し、14年2月、「明治維新150年に係る薩長土肥連携事業連絡会議」が発足した経緯がある。

 同日、港区の明治記念館で、鹿児島の伊藤祐一郎知事、山口の村岡嗣政知事、高知の尾崎正直知事、佐賀の山口祥義知事が顔をそろえ、盟約締結式に臨んだ。スーツ姿の伊藤知事以外は坂本龍馬や大隈重信など、幕末に活躍した偉人に扮した姿で登場し、気合十分だった。

 会見に先立ち、薩摩観光維新隊や土佐おもてなし勤王党などがPRパフォーマンスを披露した。

 薩長土肥の知名度を生かし、4県合同の観光情報発信による知名度向上のほか、(1)幕末・維新期の歴史や人物をテーマにしたツアーをまとめ、新たな広域観光周遊ルートの形成(2)全国的にも珍しい遠隔地同士での相互送客体制づくり—などを目指す。

 例えば、誘客に向けた旅行商品の造成については、観光素材集の作成、旅行会社のヒアリングによるテーマ・ルート構築、合同説明会の開催、クルーズ誘致など商品造成に向けた売り込みなどを展開する。

 また、4県それぞれにプロジェクトチーム(PT)を設け、推進方策を決める。具体的には鹿児島は観光コース造成、山口はプロモーション、高知はイベント関連、佐賀は誘客対策を担当する。

 会見で各知事は、「明治維新のような新しい時代にチャレンジしたい」(伊藤知事)、「連携して観光力を高めたい。ストーリー・テーマ性を持つことが重要だ」(村岡知事)、「4県の発信力で多くの観光客が訪れるようにしたい」(尾崎知事)、「手を取り合ってこの国(観光)をリードしていきたい。それぞれ誇りがあり、自信を持ったおもてなしができる」(山口知事)と抱負を述べた。

 ちなみに、16年は薩長同盟150年、17年は大政奉還150年にあたる。



箱根町、Wi—Fiアプリの提供開始
「箱根Wi—Fi」のトップ画面(写真は日本語設定)

 神奈川県箱根町は8月28日、国内外の旅行者のインターネット接続の利便性向上に向けて「箱根Wi—Fi」アプリの提供を開始した。スマートフォンなどで無料のアプリをダウンロードすれば、IDやパスワードを入力しなくても町内のアクセスポイントに自動で接続する。接続の回数や時間には制限がなく、無料でインターネットを利用できる。

 NTT東日本神奈川事業部の協力で提供を開始。アプリの作成には、国の地方創生先行型交付金を活用した。

 アクセスポイントは、NTT東日本が提供する「光ステーション」約150カ所、宿泊施設などに設置されている一部のWi—Fiルータ。アプリは外国人でも、日本人でも利用できる。

 アプリのホーム画面には、箱根町観光協会が運営する観光ポータルサイト「箱根全山」へのリンクを設置したほか、大涌谷周辺の火山情報、交通規制情報などが随時表示される。利用者は、外国語を含む情報をスムーズに入手できる。

 箱根町企画観光部観光課観光係の松島基樹係長は「訪日外国人に対しては従来、Wi—Fiカードを配布してIDやパスワードを入力してもらっていたが、その手間はなくなり、接続日数の制限なく利用してもらえる。インターネットの接続環境への不満を解消でき、おもてなしの充実につながる」と話す。

 アプリは、Google Play、またはApp Storeから無料でダウンロードできる。



九州観光推進機構、旅行会社に上期の観光素材をPR

 九州観光推進機構(会長・石原進JR九州相談役)は8月27日、東京都港区の品川プリンスホテルで、旅行会社の商品造成担当者らを対象に「2016年度上期向け九州観光素材説明会・相談会」を開いた=写真。

 16年度上期の九州向け旅行商品造成の促進や新観光情報の発信による誘客拡大を図るのが狙い。旅行業者やマスコミ関係者ら約180人が出席した。

 九州は世界遺産ブームにある。7月に世界文化遺産に登録された「明治日本の産業革命遺産」、16年に登録の可否が決まる「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」に続いて、17年に登録を目指す候補として「宗像・沖ノ島と関連遺産群」(福岡県宗像・福津市)が挙がっている。

 同機構の原田弘司国内誘致推進部長は冒頭あいさつで「3年連続で世界遺産が誕生する可能性がある」と述べ、九州観光のポテンシャルの大きさを強調した。

 1部の素材説明会では同機構が九州の祭りや食、温泉、旬の話題などを紹介。続いて、7県の観光担当者がそれぞれの観光魅力をアピールした。

 福岡県は宗像・沖ノ島関連遺産群の説明やローカル列車による旅の魅力、佐賀県は10月にオープンする「ブーゲンハウス嬉野」や各月のおすすめスポットなど、長崎県は産業革命遺産や佐世保、松浦・平戸など各エリアの見どころを紹介。

 また、熊本県は来年4月オープン予定の観光施設「崎津ガイダンスセンター」(仮称)や来年開通50周年を迎える天草五橋、大分県は温泉のほか広域モデルコースや着地型商品、宮崎県は来年3月末リニューアルオープンする「青島亜熱帯植物園」、女子、シニア、家族それぞれをターゲットにした観光素材を提供した。

 鹿児島県は島巡りを楽しむ「しま旅」、女性に焦点をあてた「こころの美旅」などを提案した。



広島市・広島大・HCVB、MICE誘致で協定締結
協定を締結した松井市長(中央)と、越智光夫・広島大学長(左)、深山英樹・広島観光コンベンションビューロー理事長

 広島市は8月18日、広島大学、広島観光コンベンションビューロー(HCVB)と「コンベンション誘致・開催のための連携・協力に関する協定」を締結した。締結式とシンポジウムを市内の広島国際会議場で開催した。

 協定は、広島市が観光庁の「グローバルMICE強化都市」に選定されたことを契機に、3者が協力してMICE開催地としての推進態勢を強化、広島のコンベンションの誘致と開催を促進する。広島市と広島大学の世界的なブランドイメージの向上を目指す。

 締結式で松井一實・広島市長は「広島へ国際会議を誘致し、開催することは、世界中の人々が本市を訪れ、被爆の実相に触れ、平和への思いなどを共有する機会になるだけでなく、広島広域都市圏のブランドイメージの強化や経済活性化などが図れる。協定を締結した3者が連携、協力し、より一層の誘致、開催を目指したい」と挨拶した。

 シンポジウムは「広島の未来をMICEで語る〜未来を考える広島市と広島大学との共同シンポジウム〜」と題して開催。広島のMICEの現状や可能性について意見を交わした。

 田中由紀・観光庁参事官が基調講演。パネル討論ではパネリストとして田中参事官、上真一・広島大学大学院教授、隈元美穂子・国連訓練調査研究所(ユニタール)広島事務所所長、増川一幸・広島観光コンベンションビューロー専務理事、中野忠昭・グランドプリンスホテル広島総支配人が登壇。ファシリテーターを廣江真・日本コンベンションサービスMICE都市研究所所長が務めた。





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