
JNTO主催のシンポジウムのパネリスト
日本政府観光局(JNTO)主催のサステナブル・ツーリズム(持続可能な観光)をテーマにしたシンポジウムが9月23日、ツーリズムEXPOジャパンで開催された。「ポストコロナに選ばれる観光とは~今日から始められるサステナブル・ツーリズム」と題したパネルディスカッションには、先進的な観光事業者3社の代表が登壇し、取り組みを紹介した。
北海道宝島旅行社(札幌市)は、持続可能な観光に関する国際認証「トラベライフ」を取得し、北海道への誘客を通じて旅行者、地域双方への貢献を目指す。取り組みの柱の一つが、地域と共に推進するアドベンチャー・トラベル(AT)。社長の鈴木宏一郎氏は「ATを『ガイドサービスを通じて地域の自然や文化を楽しみ、地球、地域、自分の持続可能性にも寄与する旅行スタイル』と定義するなら、ATとはサステナブル・ツーリズムだ」と指摘した。
持続可能な観光への取り組み方について鈴木氏は「どのような観光客にどのような時間、空間を過ごしてもらいたいのか、地域側が決めないと他者依存に終始してしまう。地域主導で地元の観光をマネジメントする必要がある」と述べた。
宿泊施設の経営などを通じて持続可能な地域づくりに取り組む扉ホールディングス(長野県松本市)は、少子高齢化、自然環境の荒廃、文化や産業の衰退といった地域の課題に対し、地域の古民家、文化財をゲストハウスなどに活用する地域共創事業を始めた。社長の齊藤忠政氏は「観光によって持続可能な地域経営に変えられないか。経済、文化、自然環境において住み続けられる地域をデザインすることに挑戦している」と語った。
また、扉グループの原点である旅館、明神館は2009年に国際エコラベル「グリーンキー」の認証を日本で初めて取得した。認証取得について齊藤氏は「何のために取るのか、スタッフの理解を得ることが一番大切。ただ、最近では、新入社員がグリーンキーについてよく調べた上で入社してくる。人手不足の中だが、環境にコミットした会社として当社を選んで入ってきたようだ。若い人の環境への関心は非常に高い」と説明した。
グローバルOTAのブッキング・ドットコムも、旅行者の意識変化を調査するなどサステナブル・ツーリズムを重視。ブッキング・ドットコム・ジャパン東日本地区エリアマネージャーのジョン・オリビア氏は「旅行者がサステナブル・ツーリズムに取り組む宿泊施設を見つけ、予約するサポートのために『サステナビリティ・バッジ』という制度を運用している」と紹介した。
サステナビリティ・バッジとは、廃棄物や水使用量の削減、自然への配慮、地域社会への貢献などの項目に対応した宿泊施設を認証し、同社のウェブサイトやアプリでアピールする制度。オリビア氏は「日本のサステナブル・ツーリズムへの関心は欧米に比べて遅れている。バッジの取得施設数もアジアは欧米より少ないが、日本でもホテルチェーン全体で取得するような動きが出てきた」と報告した。
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