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観光業界人インタビュー 第2872号≪2016年12月10日(土)発行≫掲載
地域の稼ぐ力引き出す
3大アウトドア聖地に
みなかみ町観光協会代表理事
深津 卓也氏
──昨年、町に観光会議が立ち上がりました。どんな組織ですか。
「昨年7月の『みなかみ観光会議』ですね。町や観光協会、旅館組合、商工会、農業、アウトドア関係など幅広い業種で構成されており、メンバーは総勢31人、岸良昌町長が議長です。目的は観光資源の価値を最大化し、町を訪れてくる国内外のお客さまに最高の喜びと感動を与えるとともに、『世界の観光地みなかみ』を築く組織体の枠組みづくりへの強い提言です」
「観光関係組織が乱立し、役割が不明で横の連携が不十分、各組織がバラバラに情報発信し、統一したブランドイメージがない——などといった問題点を解消するため、会議ではインフラ、情報、組織経営、マーケティング、ブランディングの五つの分科会を設け話し合いました。例えば、インフラ関係ではWi—Fi整備の遅れや新幹線駅(上毛高原駅)にも関わらず周辺にATMがない、2次交通も不便といった点などが議題に上っていました」
──成果は。
「情報分科会では情報の一元化ということでみなかみ町観光協会のホームページに集約することが決まり、半年ほど前にリニューアルしました」
──「みなかみ版DMO」(観光地域づくり推進法人)も会議の中から出てきた?
「DMO設立に向け進もうという話が出たのは昨年11月頃ですね。今年2月にDMO設立準備委員会を設け、新組織の名称や理念、目的、理事会の役割と責任、DMOの母体となる観光協会をどう改革するか——などについて9月まで検討を重ねました。その後、観光協会の臨時社員総会を開き、観光協会の機能強化を図るべく10月1日からみなかみ版DMOを導入しました。役員改選も行い、代表理事に私が就任しました。それまで理事は23人いましたが、新体制では理事は専務理事を含め9人、DMOリーダーとして事務局長を置きました。局長は町の観光商工課から出向の小野和明さんです」
──DMOについてはどう認識していますか。
「地域の稼ぐ力を引き出すとともに、地域への誇りと愛着を醸成する観光地経営の視点に立った、地域づくりのかじ取り役としての法人と捉えています。DMOは2種類、プル型(マネジメント先行型)とプッシュ型(マーケティング先行型)があると思いますが、10年に視察したニュージーランド・クイーンズタウンのDQ(デスティネーションクイーンズタウン)観光局を参考にし、マーケティング・ブランディングの強化が重要と考えています」
──いま観光客は。
「2014年度で432万人、15年度は雪不足などもあり370万人程度となっています。日帰り客が多く、観光消費額も他の温泉地に比べ低いのが実情です。一方、外国人客は増えており、15年度で1万9600人と2万人に迫る勢い。ちなみに、台湾からの客が最も多いですね」
──観光客はみなかみの何に期待し来ていると思いますか。
「みなかみ18湯に代表される温泉浴をベースに、谷川岳など豊かな自然との触れ合い、さらにアウトドアスポーツ体験などによるリフレッシュではないかと思います。谷川岳はミシュラン・グリーンガイド・ジャポンで1つ星をいただいており、シンボリックな山といえます。また、アウトドアは夏のウオータースポーツから冬のスノースポーツまでオールシーズンで楽しめます。われわれとしてはアウトドアの切り口で世界の3大聖地(カナダ・ウイスラー、ニュージーランド・クイーンズタウン、みなかみ)を目指しています。多様な資源をどう生かし、観光客に訴求していくか、DMO導入を機に改めて戦略を練っていきます」
「温泉はもちろん、ウオータースポーツ、ダムなどみなかみにとって水が欠かせません。水をキーワードに水源郷みなかみ『ウオーターシャングリア』としてのイメージを発信していきたいですね。また、来年夏にはみなかみが『ユネスコエコパーク』として認定される可能性が高く新たな魅力となりそうです」
──DMOを機に、みなかみも変わりそうですね。
「みなかみは多様性のある観光地です。1回来ただけではその良さは分かりません。8月に第3種旅行業も登録しましたので、何度も来ていただけるみなかみになるよう、町を挙げて取り組みます」
【ふかつ・たくや】
早大卒。三井物産を経て、1991年7月ホテル辰巳館入社、専務。2006年4月から社長。群馬県温泉協会専務理事、みなかみオンパク運営委員長、みなかみ町日中友好交流協会副会長など公職多数。群馬県出身、53歳。
【聞き手・内井高弘】
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