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観光業界人インタビュー 第2878号≪2017年2月4日(土)発行≫掲載
新幹線効果薄れるなか
「石川」をもう一度発信

ANTA石川県支部長・石川県旅行業協会長
北 敏一氏



──全国旅行業協会(ANTA)が主催する「第12回国内観光活性化フォーラムinいしかわ」が3月3日に金沢市で開催される。召致した理由は。

 「北陸新幹線が2015年3月14日に開業し、1年目はとにかく旅行客の数がすごかった。しかし、さすがに3年目になれば開業効果も薄れてくるから、フォーラムの開催によってANTA会員の全国5400社の仲間に石川県の情報をもう一度発信し、旅行客にまた来てもらうために手を挙げた。今年度は石川県支部が創立して50周年という節目の年であり、県支部や県旅行業協会の名前も全国に発信したかった」

──石川観光の魅力と言えば。
 
 「新しく作ったものもたくさんあるが、一番は、伝統と文化が豊かなことだ。日本三名園の一つ、兼六園が最もよく知られている。ひがし茶屋街は今とても人気があって、ほかに主計町茶屋街、にし茶屋街の茶屋街がある。芸妓に若い人が新しく入ってきて、石川県の伝統文化を引き継いでいる。武家屋敷が残っているところもある。焼き物は、金沢には大樋焼、加賀には九谷焼がある。夏には毎週各地で祭りが催されている」

 「さらに和倉温泉、加賀温泉郷の山代、山中、粟津、片山津といった温泉にも恵まれている」

──食の面では

 「冬には加能ガニ(ズワイガニ)や香箱ガニが堪能できる。ノドグロ、ブリなど新鮮な魚介類も豊富だ。金時草、五郎島金時芋、加賀れんこんといった加賀野菜も有名。食事や酒がうまいことも石川県の大きなアピールになっている」

──フォーラムの目的に着地型旅行推進があるが、その取り組みは各地で濃淡がある。石川県はどうか。

 「新幹線の開業でお客さんがたくさん来るから着地型商品をどんどん作って売っていこうと考えて、2015年3月から『いし旅』という冊子を作っている。第1号の販売設定期間が15年9月に終わって、次の第2号は16年10月から今年の3月まで。それぞれ約5千部印刷した。石川県の出先機関や道の駅など石川観光関連のいろいろなところへ事務局から送っている。特に銀座の石川県のアンテナショップに置くとすぐなくなってしまう。それほど人気があるということだ」

──第2号の冊子に掲載されているツアーは。

 「ひがし茶屋街を回るツアーや石川ライトアップツアーなど金沢、加賀、能登の20の観光モデルコースを紹介している。新たな企画では『寿司タクシー』がある。金沢駅構内に県の観光情報センターが設置されたのだが、そこにふらっと来て、『どこかいいところはないか』『食事のおいしい店を教えてほしい』と尋ねるお客さんが相当数いる。寿司を食べたい人に10軒ほどの寿司屋から自分の好きな店を選んでもらって、タクシーで連れて行くのが寿司タクシーだ。毒が消えたフグの内臓のぬか漬けを食べられる小さな店に案内するといったユニークな体験が組み込まれているツアーも評判が良い」

──フォーラムの主なプログラム内容は。

 「会場は金沢市にある県立音楽堂で、フォーラムが始まる前の午前中にまず石川県支部創立50周年記念事業『伝統芸能とクラシックの調べ』が開催される。金沢には『オーケストラ・アンサンブル金沢』という小都市には珍しいオーケストラがあるのだが、そのオーケストラによる演奏や、加賀の山中節、勇壮な輪島の御陣乗太鼓などを楽しんでもらう。御陣乗太鼓は昔、七尾城が上杉謙信に攻め込まれたとき、鬼などの面をかぶって太鼓を打ち鳴らして上杉勢を追い返したという言い伝えがある」

 「フォーラムでは、観光庁の田村明比古長官による基調講演と東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会の森喜朗会長による記念講演が行われる。さらに前回の鹿児島大会に続いて、観光を勉強している学生から石川県の着地型旅行プランを募ってコンペティションを実施し、優秀な作品を表彰する。最優秀賞作品については、当日の午前に株式会社全旅の主催で、実際にモニターツアーとして実施する」

──開催までいよいよあと1カ月と迫った。

 「来賓を含め1300人の参加を予定している。金沢でお待ちしています。皆さん、来まっし(金沢弁・来てください)」

【きた・としかず】
1948年7月19日生まれの68歳。トラベルシティ(金沢市)代表取締役。1982年8月から現職。

【聞き手・板津昌義】


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