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観光業界人インタビュー 第2908号≪2017年9月16日(土)発行≫掲載
外国人登用で人材確保
人材不足解消で一助を
公益財団法人国際人財開発機構
半田善三理事長
──公益財団法人国際人財開発機構はどういう組織か。
「そもそもの歴史は長く、多彩な人財が参加し、また支援してきた財団だ。1951年に亜細亜友之会として、二度と戦争を起こしてはいけないという平和運動団体として結成。62年には、外務省所管として財団法人の認定を受けた。「アジアはひとつ」の理念の元に、平和運動や相互扶助、友好親善、留学生の支援など幅広い活動を展開してきた。その後、公益法人改革に伴って、2014年、内閣総理大臣認定で国際人財開発機構として再スタートした。現在の活動内容は、留学生の支援、国際親善交流、技能実習生の受け入れ、世界各国での日本語検定の事業を行っている。私は5代目の理事長」
──現在の人材業界について、どう感じているか。
「毎日のように日本の人口減少が叫ばれており、社会では各分野で若者の担い手が減少している。都市部の人たちは実感がないかもしれないが、地方では過疎が進み、限界集落を越えて“地域消滅”へ向かっている。また、働く場においては農業、サービス業などあらゆる場所で人手不足が深刻化している。財団もこの現状に少しでも貢献するべく、技能実習生に加えて高度人材での雇用、アルバイト紹介の支援なども行っている。最近では、世界18カ国と日本が交流提携事業を進めるワーキングホリデーの制度を活用した人材支援を行う準備をしている。もともと日本とオーストラリアの間で始まった交流制度で、今日では海外18カ国が対象。日本にワーキングホリデーで来た人が安心安全に日本体験ができるような環境整備を支援したい。財団では、体験交流型の修学旅行にヒントを得て、体験交流参加型のワーキングホリデーを提案していけたらと考えている。ワーキングホリデーは、若いうちに世界を回って国際感覚を身に付けて将来に生かす優れた制度。1年の期間中に、滞在資金を補うための付随的な就労が認められている。日本の魅力や文化を知ってもらい、帰国後は再度、留学ビザや就労ビザで日本に来てもらいたいし、優れた人はワーキングホリデー滞在中に留学ビザや就労ビザへの道も開かれている。地方での人手不足の解消にもつながるだろう」
──現在、観光業界は人手不足で困っている。
「特に全国の旅館・ホテルでは人手不足だと聞いている。外国人の活用にも乗り出し、高度人材やインターンシップ、アルバイトを入れたりして工夫しているが、そこにワーキングホリデーで来日している人たちを活用するプランを組み合わせていくことは、とても有効なのではないか。日本には温泉地がたくさんある。外国人はスマートフォンを見ながら、日本人でも知られていないような秘境の温泉にも出掛ける。人手不足は都心のホテルから秘境の宿まで共通の悩みだ。ワーキングホリデーは働く内容に対して規制が少なく、旅館・ホテルの現場でも若い人材は活躍できると思う。日本の温泉地を巡りながら、歴史や文化などを体験し、日本の良さを味わってもらえれば、財団も支援する意味が倍加する」
──人手不足を解消するために受け入れ側が必要なことは。
「外国人の活用で事業者を支援しているが、どんなに支援しようとしても、文化の違う国で育った人への配慮を欠く対応はいけない。有名な新渡戸博士の『違いを認め合う心』が大切で、その上に、現場で事業を営む人の外国人への対応が求められる。時には、事業者側の意識的改革も必要となる。外国人とは肩肘張らずに柔軟に接し、交流してほしい」
──この度、観光経済新聞社と協力してグローバル社会に対応する人材育成、国際交流、観光産業振興を行う基本合意を結んだが。
「日本中の旅館・ホテルの悩みや観光振興については観光経済新聞社が精通している。財団と新聞社のネットワークを噛み合わせて、観光産業の振興や人材不足の解消の一助となるべく取り組みたい」
──基本合意に基づく今後の取り組みは。
「韓国や台湾からの訪日観光客が多い。そういう人が体験参加交流型のワーキングホリデーを活用して、滞在資金を補うための付随的就労(アルバイト)を、例えば旅館・ホテルで働くことで貴重な日本体験ができる機会を創出できる仕組みを作る」
──観光業界の人たちに伝えたいことは。
「有名な観光地は取り上げられているが、知られていない名所が日本にはたくさんある。日本人が行かないところにも外国人は出掛けて行く。畳の部屋や変哲もない庭など、当たり前に感じる景色も外国人には珍しく、歴史や文化の発見の場所となる。共に外国人を通じた日本の魅力の発信ができればと思っている」
【はんだ・ぜんぞう】
早稲田大卒。1977年参議院議員細川護煕氏秘書、2000年衆議院議員。07年に亜細亜友の会五代目理事長、14年から現職。
【聞き手・長木利通】
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