日本商工会議所はこのほど、2012年度「全国商工会議所きらり輝き観光振興大賞」の大賞に鹿児島商工会議所(鹿児島県)を選んだと発表した。表彰式は25日、高知市で開催する「全国商工会議所観光振興大会2012in高知」の本大会で行う。
大賞を受賞した鹿児島商工会議所は中国や韓国、東南アジア諸国に近いという地理的優位性を生かして陸・海・空のインフラを活用した観光振興策などを打ち出し、国内外からの観光客誘致に取り組んでいる。
例えば、「陸」では昨年3月の九州新幹線鹿児島ルートの全線開業を機に、地元の関係団体や行政と連携して「九州新幹線全線開業経済効果最大化プロジェクト」を発足。開業PR年賀はがきの販売(110万枚)や沿線商工会議所との交流事業、鹿児島の食材を活用したメニュー開発などを行った。
また「海」では商工会議所が主体となり、鹿児島港の整備や観光クルーズ船の誘致、「空」では空路を活用したインバウンド拡大策として国際線網の拡充なども手がけている。こうした一連の取り組みが評価され、大賞受賞となった。
「観光立“地域”特別賞」は弘前商工会議所(青森県)と氷見商工会議所(富山県)が受賞。
弘前は地域を1つの劇場に見立て、観光客と住民が共に共感、共鳴できる新たな観光のスタイルとして「弘前感交劇場」を提唱。四季の弘前を舞台、白神山地を舞台背景、りんご園やさくらまつりを大道具、そして市民を助演者に見立て、地域にあるさまざまな観光資源を用い、劇場として捉えている。
このコンセプトのもと、これまで「全国高校ファッションデザイン選手権大会」(ファッション甲子園)などを開催している。
氷見は味覚、触覚、視覚に訴える仕掛けづくりを。特に「視る(見る)」では、観光の利便性アップが見る機会を増やすと考え、2次交通の整備を目的に「氷見送迎バスコールセンター」を開設。これは旅館など25軒とバス会社が連携し、一括集中で送迎バスを手配するシステムで、事業開始から5年経った今も利用実績を着実に伸ばしているという。
その他の賞の受賞会議所は次の通り。
▽きらり輝き振興賞=大垣商工会議所(岐阜県)、大阪商工会議所(大阪府)
▽奨励賞=帯広商工会議所(北海道)、富良野商工会議所(同)、八戸商工会議所(青森県)、天童商工会議所(山形県)、富士商工会議所(静岡県)、高石商工会議所(静岡県)、長崎商工会議所(長崎県)