星野リゾートは14日、YouTube配信でプレス発表会「星野リゾートLIVE2021春」を行った。星野佳路代表はコロナ禍での同社の実績と戦略を振り返るとともに、コロナ後の観光業界の展望を語った。同氏は、ワクチン接種の普及による旅行需要の回復見込みや、今春の旅行における消費者行動の変容について言及。Go Toキャンペーン事業に関しては、シンプルに、継続できるように、の観点から、「ワクチン接種者を対象とする」など五つの条件を提言した。
同社は、コロナウイルス感染が拡大し始めた昨春に、18カ月で業績回復を目指す事業方針を示した。マイクロツーリズムを集客のテーマに掲げ、危機管理体制を強化し、Go Toキャンペーンの開始も相まって売り上げが回復してきたものの、昨冬から今年度当初にかけてウイルス感染の第3、第4波が予想以上に続き、売り上げに影響が出ていると分析。今後の国内の旅行需要については「ワクチン接種が進む他国では通常の生活が戻りつつあり、旅行の予約も入っている」と述べ、ワクチン接種が鍵になるとの考えを示した。世界的にもワクチン接種が進み、日本国内へのインバウンドがコロナ禍前比で、22年には50%、23年には100%に達し、2年後にはコロナ禍前と同様にインバウンド需要に対してアプローチできる状態に戻るとの予測も併せて示した。
自社の施設の予約数、キャンセル数、コロナウイルスの感染者数との相関関係についても言及した=図。星野氏は、昨年のコロナ禍以降、感染者数が多くなると予約数が減る傾向にあったが、今年4月は感染者数が増えているものの予約数は大きく落ちていないことから、自粛ムードの中で消費者の行動が変容しつつあると指摘。「ワクチン接種への期待がこの背景にあるのかもしれない」と推察した。
Go Toキャンペーン事業については、よりシンプルに長く継続していくための条件として、(1)国内全体のワクチン接種を促進し、各宿泊施設のスタッフの安全を確保するためにも、ワクチン接種者のみを同事業の対象とする(2)補助率を下げ(宿泊料金の20%、上限8千円とし、一律2千円の地域共通クーポンを併せて配布)、補助を十分な経済対策が得られる範囲にとどめる(3)作業の煩雑化を避けるために、補助率の段階的な低減はしない(4)一定水準の観光需要が見込める3日以上の連休は同事業の対象外とする(5)土日しか休みが取れない人の不公平感をなくすため、土日と平日で差を付けない―の五つを提言した。
東京オリンピックについては、「コロナウイルスの感染状況が落ち着いていて、日本は安心、安全な場所だと海外にアピールする場として、無観客でも開催すべき」との考えを明らかにした。
星野代表