中国からの訪日団体観光などを取り扱う旅行会社でつくる中華人民共和国訪日観光客受入旅行会社連絡協議会(中連協)の総会が6月27日に東京都内で開かれた。インバウンドが急回復する中、中国は日本行きの旅行商品の販売禁止措置を継続している。新会長に選出された石田恒夫氏(JTBグローバルマーケティング&トラベル社長)は、中国からの訪日観光の再開に期待するとともに、旅行会社の業務がひっ迫しているとして、再開を見据えた受け入れ態勢の準備を呼び掛けた。
中連協は、観光庁が指定した中国からの訪日団体観光旅行、個人観光旅行に関して、「日本側の身元保証人となる身元保証書」を発行できる旅行会社で構成された団体。2000年8月に設立。訪日客の事故や所在不明事案などに対応、訪日旅行の円滑な実施を通じて、日中友好に貢献するのが目的。
現在の会員数は275社。コロナ禍で中国からの訪日が途絶え、団体観光などの再開も見通せない中、会員旅行会社の状況は厳しいが、日本政府が22年10月に水際対策を緩和したことで、中国からの訪日再開への期待が高まっている。中連協は、身元保証書発行システムの運用を見直すなど準備を進めているほか、23年度には視察や交流を目的とした訪中団の派遣、中連協ホームページの改修などを計画している。
会員旅行会社の人事異動や組織改正に伴う役員の補充選任も行われ、JTBグローバルマーケティング&トラベル前社長の黒澤信也会長が退任し、役員会の互選で石田氏が新会長に選ばれた。
石田会長は新任のあいさつで、「中国市場の幕開けを願って、皆さまと共に準備していきたい。アフターコロナ、ニューノーマルの中国市場がどう変わっていくのか。アドベンチャーツーリズム、スノーツーリズム、グランピングなど、中国人がどんな旅を望んでいるのかを見極めながら準備を進めたい」と述べた。
一方で石田会長は、中国人客の訪日観光の本格的な再開に向けた課題として、「春以降のインバウンドは、中国を除いてたくさんの訪日旅行者を迎えており、今後、中国からの旅行者もお越しになった時には、日本の旅行会社の業務がパンクしてしまう。今から備えておくことがわれわれに課せられた使命だ」として会員旅行会社の対応を呼び掛けた。
総会の議事に先立っては、観光庁国際観光課アジア市場推進室の寺井陽子室長、外務省領事局外国人課の小林龍一郎首席事務官、中国駐東京観光代表処の欧陽安首席代表が来賓としてあいさつした。
会長に選出された石田氏
中国からの訪日観光の受け入れを担う旅行会社連絡協議会の総会