コロナ禍の業況、旅行市場の予測も発表 定期プレス発表会で
星野リゾート(長野県軽井沢町)は12日、YouTube配信でプレス発表会「星野リゾートLIVE2022秋」を行った。星野佳路代表は同社国内施設での売り上げの推移をもとにコロナ禍での業況を総括し、今後の旅行市場についての展望を発表した。11日に開始した全国旅行支援については、平・休日間の旅行需要の平準化などのメリットを挙げながらも、「制度が複雑」と言及した。
星野氏は同社60ホテルを「都市」「飛行機で行く観光地」「都市周辺の観光地」「温泉地」の4タイプに分け、業績を分析。都市ホテル(OMO5東京大塚など)はコロナ禍前比でインバウンド不足分を日本人で補い切れていないと説明し、「都市のホテルは最も苦しんだ」と述べた。飛行機で行く観光地(星のや竹富島など)の稼働率はコロナ禍前水準に戻り切っていないものの平均客室単価が上がったと振り返った。都市周辺の観光地(リゾナーレ八ヶ岳など)は稼働率も回復し、平均客室単価もコロナ禍前比で上昇し、温泉地(界 加賀など)は稼働率、平均客室単価ともにコロナ禍を超え、「特に好調だった。全国の温泉地も同様の傾向だったと思っている」と述べた。
星野氏は都市周辺の観光地や温泉地のホテルが好調だった要因として「海外旅行に行けなかった人の需要が国内旅行に移ってきたのでは」と推察。その点から、「水際対策緩和でインバウンドが戻るのは業界全体では良いことだが、アウトバウンド(日本人の海外旅行)も再開し、一時的に国内で消費していた層が海外へと戻ると考えられる。今後、若干ながら温泉地、観光地の施設では客室単価の下げ圧力が掛かるのでは」との見解を示した。
他方、コロナ禍前の2019年当時と異なり円安基調で推移している現状を踏まえ、「円安によりインバウンドの戻りは早くなり、日本人による海外旅行の再開は遅くなると考えられる」とした上で、「2023年、24年は日本の観光の状況は悪くない。大きなチャンスを迎えている」と総括した。
星野氏は全国旅行支援についても言及。実施期間が繁忙期を外している点、クーポン券で平日と休日に差を付けることで旅行需要を平準化できる点を評価した一方、「制度設計を各県に任せたことにより47の事務局が誕生し、制度が複雑化した」と指摘。予約方法や既予約への対応、ワクチン接種要件などが各都道府県で異なる内容になっており、それらを個別に反映させる作業に苦慮していると、現場での実務の観点から苦言を呈した。
同社は「複雑な支援でも、ストレスフリーで簡単に予約してもらえる状態を作る」(星野氏)ことを目的に、全国旅行支援の専門予約サイトを開設。(1)全施設の適用条件が一目で分かる(2)一押しプランから選択できる(3)航空券付きプランも予約できる―などの要点を反映させた同サイトで、25日宿泊分から適用、販売すると発表した。
星野氏