内閣府がこのほど公表した今年6月の景気ウォッチャー調査では、景気の現状判断DI(季節調整値)が前月比23.3ポイント増の38.8だった。前月に続き、家計動向関連、企業動向関連、雇用関連の全てのDIが上昇した。ウォッチャーの見方について内閣府は「新型コロナウイルス感染症の影響による厳しさは残るものの、持ち直しの動きが見られる。先行きについては、感染症の動向を懸念しつつも、持ち直しが続くと見ている」としている。
DIは地域の景気の動きを観察できる宿泊業、商店、飲食店などの「ウォッチャー」に景気の現状や先行きを「良い」「やや良い」「どちらともいえない」「やや悪い」「悪い」の5段階で判断してもらい、結果を数値化したもの。
3カ月前と比較した景気の現状判断DIは2カ月連続の上昇。家計動向関連では、飲食関連が31.0ポイント増の39.6、小売関連が27.6ポイント増の47.0、サービス関連が27.1ポイント増の39.0、住宅関連が14.9ポイント増の32.1で、いずれも上昇した。
2~3カ月先の景気の先行きに対する判断DIは同7.5ポイント増の44.0。飲食関連が10.6ポイント増の45.3、住宅関連が10.5ポイント増の39.8など、全分野のDIが上昇した。
景気の判断理由で主な回答は次の通り。
「ビジネス客は少しずつ戻ってきているが、現状は少ない客の取り合いになっており、破格な料金を提示する安価なホテルに流れる傾向が強い。レストランは、再開のめどは立ったものの、新型コロナウイルス感染予防対策への準備に追われている」(現状、不変、北関東、都市型ホテル)。
「例年の数値に比べると非常に悪い。新型コロナウイルスの移動自粛は緩和されたが、不要不急な外出を控えている人が多い」(現状、悪、九州、観光名所)。
「新型コロナウイルスの感染拡大防止のため自粛をしていたが、県外への移動が解除されたため、観光地としては今月よりは若干良くなると期待している」(先行き、やや良、南関東、観光名所)。
「県民への宿泊助成金が7月1日宿泊分から始まるのを利用して、宿泊予約が増えてきている。今後、Go To Travelキャンペーンもあり、個人客が動くのは期待できる」(先行き、やや良、北陸、観光型旅館)。
「飲食や観光業界の景気が戻らず求人がほとんどない。また、売り上げは回復しつつあるにもかかわらず第2波を警戒してなかなか増員に踏み切れない企業が多い」(先行き、やや悪、四国、求人情報誌製作会社)。