観光公害対策に言及
国連の世界観光機関(UNWTO)と教育科学文化機関(ユネスコ)主催による国際会議「国連観光・文化京都会議2019」が12月12、13日、京都市の国立京都国際会館で開かれ、文化面を重視した観光の質の向上など4項目を盛り込んだ「京都宣言」を採択した。また、「京都モデル」の推進を世界に呼び掛けた。
「京都モデル」世界へ訴え
会議は世界各国の観光・文化担当大臣や関係者らが集まり、貧困の緩和や雇用の創出、自然と文化遺産を保護するために、観光と文化の力をいかに活用するかを議論する場。日本での開催は初めて。70カ国の政府関係者らが集い、延べ参加者は2日間で約1500人に達した。京都府・市なども地元主催者として加わった。
「将来世代への投資~観光×文化×SDGs~」をテーマに、(1)文化の継承(2)地域コミュニティ(3)人材育成―などに焦点を当て、観光と文化の力でどうSDGs(持続可能な開発目標)を達成するかを議論した。
12日には三笠宮彬子さまの基調講演の後、閣僚級会合が開かれ、日本、カンボジア、クロアチア、チェコ、ガーナなど8カ国の政府関係者が文化観光のための、革新的な政策と取り組みモデルの推進について意見を交わした。日本からは門博文・国土交通大臣政務官、上野通子・文部科学副大臣が出席。
京都宣言は、「最先端の文化観光プロジェクトにおける革新的な政策とガバナンスモデルの実践」「文化の伝播と相互理解による観光の質の向上」「地域コミュニティの強化と責任ある観光の推進に向けた観光マネジメントの再構築」「文化観光の持続可能な発展と共有価値のより良い理解に適した能力強化」の4項目で構成、それぞれに具体策を盛り込んだ。
世界の有名観光地で深刻化しているオーバーツーリズム(観光公害)については、「季節、地域、時間における観光客の分散化を促す戦略的な観光地マネジメントシステムを提供する」とした。
会議では、門川大作京都市長が地域社会と文化・観光に関する「京都モデル」について講演したが、宣言ではこの京都モデルを採用。市は「非常に大きな成果」(観光MICE推進室)と捉えている。
門川市長は、オーバーツーリズムについて、混雑の対応として季節、場所、時間の分散化、AI(人工知能)による混雑度合いの見える化などを挙げた。
京都宣言を採択した関係者ら(左から2人目が門川市長)