環境省は10日、「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」(鹿児島、沖縄)について、世界遺産委員会の諮問機関である国際自然保護連合(IUCN)が世界自然遺産への登録を勧告したと発表した。7月に開かれる同委員会で正式決定される見通し。国内の世界自然遺産は屋久島(鹿児島)、白神山地(青森・秋田)、知床(北海道)、小笠原諸島(東京)の4件あり、登録されれば5件目となる。
鹿児島県の奄美大島と徳之島、沖縄県の沖縄本島と西表島の4島にまたがる推薦区域の総面積は計約4万3千ヘクタールに及ぶ。
イリオモテヤマネコやアマミノクロウサギ、ヤンバルクイナなど、数多くの固有種が生息しており、IUCNは「国際的にも希少な固有種に代表される生物保全上重要な地域である」と高く評価した。
学術的な価値だけでなく、豊かな自然は貴重な観光資源となっているが、登録を機に観光客が増加することも予想され、環境破壊につながらない受け入れ態勢が課題の一つとなりそうだ。
政府は17年に世界自然遺産に登録するよう求める推薦書を国連教育科学文化機関(ユネスコ)に提出したが、IUCNが推薦区域を調整する必要性などから18年に登録延期を勧告し、政府はいったん推薦を取り下げた経緯がある。
小泉進次郎環境相は10日、主に次のような談話を発表した。
コロナ禍での明るいニュースになったことを含め、今回の勧告を非常にうれしく、また感慨深く思います。今回の勧告により、本件の世界遺産登録に向けて大きく前進したものと考えております。
一方で、IUCNからは保全管理上のご指摘もいただいており、質の高い保全管理が行えるよう努力いたします。
アマミノクロウサギなど希少な固有種が数多く生息している(環境省のHPから)