観光振興に功績があった団体や個人を表彰する「第19回岩切章太郎賞」に、埼玉県川越市が選ばれた。主催の宮崎市が16日発表した。川越市は、蔵造り商家の町並みや国の重要無形民俗文化財の川越まつりなど歴史・文化的遺産を観光に活用、生活と歴史を調和させた住民主体の地域づくりが高い評価を受けた。
同賞は、「観光宮崎の父」と言われ、全国の観光地づくりに影響を与えた故・岩切章太郎氏にちなみ、宮崎市が88年に創設した。今回の選考対象は196件。作家・永六輔氏を委員長に有識者でつくる選考委員会が審査した。
川越市の人口は約33万人。古くから水運の物資供給地として栄え、「小江戸」と呼ばれた。マイカー社会の到来などで、一時は商店街が衰退したが、商店主自らがルールを決め、魅力ある景観の創出のために改装などに取り組んだ。行政も助成制度や電線地中化事業などを実施。こうした住民の運動と行政の支援が奏功し、観光客も増え、昨年は約550万人が訪れている。
受賞を受けて、川越市の舟橋功一市長は「心よりうれしく思う。川越市は観光客数を年間1千万人にするという大きな目標を掲げている。より魅力のある観光地づくりを進めたい」とコメントを発表した。
同賞の贈呈式は5月29日、川越市の川越城本丸御殿大広間で行われる予定。
川越市の街並みは、99年に国の重要伝統的建造物群保存地区に選定された