日本展示会協会(日展協、石積忠夫会長)は、5月29日に東京都内で開催した通常総会を拡大し「深刻化するビッグサイト問題」をテーマに緊急討論会を開いた。「ビッグサイト問題」とは、東京・有明にある東京ビッグサイトが2020年に開催される東京五輪・パラリンピックの放送施設(メディアセンター)になるため、一定の期間、展示会場として使用ができなくなることを指す。
東京ビッグサイトは東展示棟(約6万7千平方メートル)と西展示棟(約2万9千平方メートル)に加え、現在建設中で19年7月オープン予定の南展示棟(2万平方メートル)から成る。収容が一番大きい東展示棟は19年4月から20年11月までの20カ月、西と南の両展示棟は20年5月から9月までの5カ月間使用できなくなる。
東京ビッグサイトではその対応策として、19年4月に約2万3千平方メートルの仮設館建設を発表しているが「仮設館の実際の展示面積は1万8千平方メートル以下となり、小さすぎて代替にならない」「ビッグサイトから1.5キロメートル(徒歩約20分)も離れているため一体利用できない」と日展協は主張する。また、「東展示棟が20カ月間使用できなくなると、247本相当の展示会が中止となり、約8万2千の出展社が2.2兆円の売り上げを喪失する」と訴えている。
日展協では東京ビッグサイトと同規模(10万平方メートル)の仮設会場を首都圏へ建設することや放送施設をビッグサイト以外に建設することなどを出張しているが、緊急討論会では現実を見据えて、東展示棟の工事開始を3カ月遅らせることや、南展示棟の工事完了を3カ月前倒しすることも提言。これにより「3棟すべて合わせた20カ月平均の利用可能面積は35%から65%にまで回復できる」とした。
緊急討論会