アジアの観光事業を担う若者を育てる
まずは能登地震で被災された方々にお見舞いをお伝えしたい。そして観光、地域の再建、復興の志をもつ能登の若者に「大阪観光大学で学びを」と呼びかけたい。志ある能登の若者を迎え入れる(25年4月入学生)ための奨学・生活支援制度を近く公表したい。
大阪観光大学は、南に高野・熊野、北には京都、奈良という古都を望み、また関西国際空港に隣接し、〈観光〉を学ぶ最適な場に位置する。また大学名に「観光」を冠する日本唯一の大学として、観光の高度化・多様化を通じて、社会の持続的な進歩に主体的に貢献できる世界市民・観光人材を養成することをめざす。
学生数の7割を占めるアジア14カ国の留学生と3割の日本の若者が、日本と世界の観光・サービス業に巣立っていく。南アジアの学生は、「日本の電車は美しい。子どものころから憧れ」といい、日本語はもちろん9カ国語を話す。「高校までは地理しか興味がなかった。英語、数学とんでもない」という大阪で育った学生は、「父の故郷がさびれていく様子をなんとかしたい」と「地理が好き」で本学を見いだした。「いまは英語が一番楽しい」という。
満遍なく学び、満遍なくよい成績をとることを求める日本の学校の「学び」からやむなく、あるいは意識的に離脱した若者が、「こだわり」や「好き」を貫き、「観光」という世界を見いだしている。「観光学の世界は、君の好きなこととつながっている」である(『大学案内2024』)。アカデミックキャリアの教員、ビジネスキャリアの教員が、彼らのこだわりあるテーマを広がりと深みのある学びに導いている。とくに専門の基礎として学生自身の「楽しむ力」を育み、さらに他者を楽しませる職業専門性につなげていく(『大学憲章2022』)。
観光業界は、ウィズコロナ・ポストコロナのなかで新たな展開と活況をみせている。観光という事業世界を自ら楽しむ若い世代の起業、参入、革新的な事業者の登場など。本学が構想実施する観光リカレント教育プラットホームには、これら若手、革新的事業者が参集し官公庁や文科省の応援もいただいている。大学とは、時代の課題、事業実践を受け止め、未来を創造する器である。この器を観光関連各界のみなさんに利用していただき、連携協働し次世代の観光の事業や学のイノベーティブな若者を輩出したい。
今秋関西国際空港が開港30周年を迎える。本学は、関空関連事業者や自治体と「地域振興・観光振興研究懇談会」を積み上げ、開港記念シンポジウムを予定している。