新型コロナウイルスによる肺炎の拡大を受けて、国内の旅館・ホテルや観光施設は感染防止にさまざまな対策を打ち出している。アルコール消毒液の設置や手洗いの徹底が多く、従業員のマスク着用は施設により対応が分かれている。着用を義務付けていない施設は「中国人客が少ない」「お客さまに威圧感を与える」などが理由で、中には「清掃スタッフ、フロント従業員にマスクの着用を指示したところ、『客を感染源扱いするのか』と怒られるクレームが発生している」との事例もあった。
主な旅館・ホテル、観光施設に聞いた対策の具体例は次の通り。
「手洗いの徹底」
「WHOの緊急事態宣言を受けて、今まで認めていなかったマスクの着用についてお客さまに対してお断りの掲示をした上で、許可するようにしている」
「施設内に次亜塩素系の揮発性液を多数設置。一定時間にエタノール消毒液の散布。マスク着用」
「アルコール消毒。朝礼での健康チェック」
「館内共用部(ロビー等)にお客さま用アルコール消毒用品を設置している。他館ではマスク着用をしてスタッフが接客している施設も見られるが、弊館はまだ全体的な判断として、実施には至っていない。中国人観光客との接触が極端に低い施設のため、スタッフへのマスク着用義務付けなど、通常と異なるオペレーションは、現状採用しない予定。このたびのウイルスに限らず、感染症予防のため、出退勤時の手洗い、調理場入場前の殺菌などは平時より行っている」
「入り口にアルコール消毒液を設置し、従業員もマスク着用を認めている。せきの症状があり、マスクをしていないお客さまにはマスクを渡し、着けてもらう。マスクを渡したお客さまは今まで1人のみ」
「社内ではアルコール消毒をスタッフはもちろん、お客さまにもお願いするように考えている」
「基本的にはバックヤードでのマスク着用。手洗い、うがいの啓蒙(けいもう)」
「各施設入り口にアルコール消毒液を目立つように設置。一部店舗では全員マスク着用」
「社内のマスクは中国本土からのお客さまもおらず、他のお客さまに威圧感を与えてしまうので、現在着用していない。手洗い、うがいの徹底と、玄関、食事会場入り口、各階エレベーター前にアルコール消毒液を設置している。また、『ウイルスキャッチャー』といわれる首から下げる名刺サイズの対策用品を従業員に着用させている」
「配膳などは完全マスク、手袋着用(これは常にしている)。清掃時の各部屋換気、空気入れ替え。お客さまにはフロントでのチェックインの時に消毒剤の手指スプレー完備。フロントでのマスク無料配布。各部屋での手指消毒剤、うがい薬配備。室内消毒用に部屋用の『クレベリン』を清掃時使用している」
「うがい、手洗い、歯磨きの推奨。アルコール消毒など。お客さま対応時のマスク着用に関しては悩んでいる。他の旅館と相談中」