観光を中心とした地域活性化の戦略を考え推進していく、民間主体の組織が28日、新たに発足することが明らかになった。観光・旅行業の枠にとどまらない多様な人材を集め、互いに知恵と情報を出し合うことで、「従来にない発想で新しい観光産業や地域経営のあり方を追求する」としている。観光による地域活性化の気運が盛り上がる中、新しい視点での振興策をどう打ち出すのか、注目される。
28日に発会式
この組織は「観光地域経営フォーラム」で、28日に東京都内で発会式を開く。社会経済生産性本部(牛尾治朗会長)が中心になって設立に向け動いた。代表幹事には麻生渡・福岡県知事、須田寛・JR東海相談役、福川伸次・機械産業記念事業財団会長、望月照彦・多摩大教授が名を連ねている。
同フォーラムは、(1)地域の資産・文化に着目した新たな観光(ニューツーリズム)の創出と、地場産業(製造業、農林水産業など)の生産性向上を通して、地域経済を活性化し、雇用創出を図る(2)観光・レジャーサービス業の経営改革、競争力向上を支援する(3)観光・レジャーを核とするまちづくり、地域づくりに向け、自治体、企業、NPOなど様々なステークホルダー(利害関係者)をネットワークし、合意形成を図る運動を展開(4)休暇改革に向けた取り組み──などの活動を行う。
内部部会として、当面「地域ビジネスモデル推進」「休暇改革推進」の2部会を設ける。地域部会では着地主導型のニューツーリズム促進のための新たなビジネスモデルを検討し、実証実験も行う。また、会員サービス事業として、シンポジウムや勉強会、地域ブロック講演会などを実施するほか、月例研究会といった公開事業も計画している。
民間・地域主体による活動を継続していくため会員制を導入。例えば法人Aの場合、運営分担金として一口12万円(三口以上)、加入初年度時に徴収する協賛金は同30万円(一口以上)とした。法人BはAよりも少額だが、公開事業出席の場合、参加費がかかる。一方、個人は運営分担金のみで同1万円(一口以上)、自治体は徴収しない方針。
都市圏で開かれる事業には参加しにくい、という地方在住者にはサポート会員制(同6万円)で対応し、地域事業を行う際、スケジュールなどを知らせる。
また、8月をめどに情報交流のためのプラットフォームを構築し、ニューツーリズムなどに関する公式ブログを開設する予定だ。
2月20日現在、法人会員として、JTBやKNT、博報堂、オリエンタルランドなど28社、個人14人、自治体は都道府県知事12人と53の市区町村長が入っている。