菅義偉首相は、18日に召集された通常国会で施政方針演説を行った。新型コロナウイルス感染症の早期収束に取り組む姿勢を前面に打ち出す一方で、地方の活性化に向けて「新型コロナを克服した上で世界の観光大国を再び目指す」と述べ、引き続き観光施策に注力する方針を示した。
観光施策では、宿泊施設の改修や観光地の廃屋撤去に補助金を交付する2020年度第3次補正予算案の事業に触れるなど、観光コンテンツの磨き上げ、滞在環境の整備などに意欲を示した。
観光に関する演説部分は次の通り。
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わが国には内外の観光客を引きつける「自然、気候、文化、食」がそろっており、新型コロナを克服した上で、世界の観光大国を再び目指します。
先を見据え、短期集中で、ホテル、旅館、街の再生を進めます。全国100程度の地域で、街中に残る廃屋を撤去し、魅力ある施設へとリニューアルします。
皇室ゆかりの三の丸尚蔵館は、わが国が誇るべき2千を超える国宝・重要文化財級の美術品を所蔵しています。それらを地方に積極的に貸し出し、文化観光の核とします。国立公園などにおける自然の中での宿泊体験や、城や寺社、古民家での滞在など、地域に眠る観光資源を磨き上げ、滞在型観光やワーケーションを推進してまいります。
日本酒、焼酎などの文化資源について、ユネスコ無形文化遺産への登録を目指します。
ウポポイが昨年夏、開業しました。アイヌ文化の素晴らしさを体感できるよう、さまざまなイベントを充実させ、観光の起爆剤とします。
沖縄では名護東道路がこの夏に全面開通し、美ら海水族館や世界遺産の今帰仁城跡へのアクセスが大幅に改善されます。
国会で施政方針演説を行う菅首相(写真・首相官邸ホームページ)