全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会(全旅連)シルバースター部会の中村実彦部会長(長野県・五龍館)は11日、東京ビッグサイト(東京都江東区)で行われた美容と健康のイベント「スパ&ウエルネスジャパン2018」(UBMジャパン主催)で「高齢者、訪日客が増える新市場にどう順応するか」をテーマに講演した。高齢者など全ての人に優しい宿の普及を目指す同部会の事業もアピールした。
中村部会長は増え続ける高齢者と訪日外国人の取り込みが旅館にとって重要と指摘。高齢者対応では地域のバリアフリー観光冊子を作成した登府屋旅館(山形県小野川温泉)、ユニバーサルデザインの施設作りで先駆的存在の富士レークホテル(山梨県富士河口湖温泉)の各シルバースター登録旅館を好事例として取り上げた。
また訪日外国人の取り込み事例として野沢温泉と白馬に滞在するスキーヤー向けに日本文化を体験できる日帰りディナーツアーを企画した戸倉上山田温泉旅館組合(長野県)、音声翻訳機を活用して顧客と積極的にコミュニケーションを図り、顧客満足度と売り上げ向上を図った別府市旅館ホテル組合連合会(大分県)などの事例を取り上げた。
中村部会長は「インバウンドの急拡大で(市場の)風向きが変わった。われわれは帆を張り直す必要がある」と指摘。自身が経営する旅館で2015年6月から、1泊2食型から泊食分離型に経営を切り替えたところ、滞在する外国人客が前年の倍に増えた実績を述べた。
高齢者対応などで一定の基準をクリアした宿を登録する「シルバースター登録制度」や、ホームページでの集客事業、食中毒予防のマニュアル発行など、シルバースター部会の事業も紹介した。
中村部会長の講演