「JATAの道」最終回に80人 三陸ルートを実地研修


ロングトレイルを視察するJATA会員ら

 日本旅行業協会(JATA)は11、12日、JATAの道プロジェクト最終回となる第7回「みちのく潮風トレイル」実地研修を実施した。JATA会員を中心に80人が参加。三陸(東松島―松島)ルートを中心に宮城県太平洋沿岸地域の体験ウォーキングなど視察を行った。実地踏査の経験を生かし、商品化を目指す。

 みちのく潮風トレイルは、環境省が復興のシンボルとして東北太平洋沿岸地域のロングトレイルとして整備したもの。青森県八戸市から福島県相馬市までの海岸線を中心に設定しているトレイルコース。津波などの自然の脅威や、その地域に根差した特有の文化も学べる。JATAは14年から同トレイルを活用しながら活動を開始。観光による交流の活発化から、地域経済の振興を目指している。

 今回のプロジェクトでは、宮城県東松島市で実施。大高森や矢本海浜エリアでのトレイルウォーキングのほか、嵯峨溪や松島での遊覧体験、東松島震災復興伝承館、矢本海浜緑地公園、航空自衛隊松島基地への立ち寄りなどを行った。大高森を案内した東松島市復興まちづくり推進員の関口英樹さんは「東松島市では、震災で亡くなった人が1110人、行方不明者がまだ23人いる。10年たって海水浴ができるようになった。再び人が訪れる地域となれば」と話す。

 11日には同プロジェクトシンポジウムをホテル松島大観荘(宮城県松島町)で開いた。冒頭、JATAの坂巻伸昭会長が「旅行業はお客さまを連れていくことだけでない。思いを伝え、喜びへと変えることが旅行業だ。思いをつなげて広げていくことを、JATAの道をきっかけに東北振興へとつなげていく」とあいさつした。

 シンポジウムでは、日本トレッキング協会の市毛良枝理事と北海道大学院国際広報メディア・観光学院の木村宏教授が「東北復興に向けて『みちのく潮風トレイル』を歩こう」をテーマに講演。木村教授は、「ロングトレイルは、現在は1025キロまで伸びた。日本を1本のロングトレイルでつなぐ構想がある。歴史、文化などを感じてもらうほか、地域交流を生み出すものとして、誘客のきっかけになれば」と述べた。市毛理事は「まずは好きな場所から歩いてほしい。地域にとっても稼げることにつながる有効な観光資源だ」とアピールした。

 このほか、環境省東北地方環境事務所の中山隆治所長がみちのく潮風トレイルを解説。「祭りなどイベントや文化などを楽しめる場所がたくさんある。インバウンド再開時の強力なコンテンツとなる」とアピールした。

 東松島市の渥美巖市長は同市の観光資源を紹介。みちのく潮風トレイルのほか、トレッキングができる宮城オルレ奥松島コースなど観光地や、旧小学校を改装した防災体験型宿泊施設「KIBOTCHA」、今年3月に開業した盆栽をテーマとした庭園「奥松島クラブハウス」などをPRした。

ロングトレイルを視察するJATA会員ら

坂巻会長

 
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