古美術や古文書展示
第1015回よその旅館ホテル
――歴史のある宿だそうですね。
「江戸後期の天保3(1832)年の創業で私は20代目です。小さな湯宿ですが、浅間温泉が松本城主の御殿湯で、城主と縁が深かった先祖から代々伝わる古美術や古文書などが当館にあり、館内に展示しています」
――古美術や古文書というと。
「当館所蔵の信州松本城図は現存する最古の松本城の絵図で、松本城太鼓門復元の際、資料になりました。実物は畳3畳ほどの大きさですので、50%縮図のレプリカを展示しています。兜(かぶと)や刀、裃(かみしも)、掛け軸などもあり、近年増えている外国人のお客さまも興味深そうに鑑賞されています」
――客室、浴場は。
「数寄屋造りの建物に純和室の10室で、このうち3室が源泉掛け流しの半露天風呂付き客室です。ベッドを配置した部屋は現在1室ですが、高齢のお客さまへの対応なども考えて今後増やす予定です」「大浴場に加え、源泉掛け流しでレトロなタイルと畳敷きの貸し切り風呂が人気です」
――料理は。
「信州サーモンや大王イワナ、馬刺し、地場の野菜など、地元の食材を生かした創作会席料理です。温泉街に温泉熱を利用したイチゴ園ができたので、イチゴのデザートも提供しています。お酒は利き酒師の資格を持つ若女将が地酒などを紹介します。食事は夕・朝食ともにお部屋出しで、旅館らしいおもてなしにこだわります」
――経営課題は。
「2年ほど前からオフシーズンには週2日の休館日を設けています。スタッフは連休が取りやすくなり、私自身も、よその評判の旅館に女将と泊まりにいくなど、経営のための勉強に時間を充てるようにしました」
【1泊2食付き1万5千円(税別)から】
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