源泉育ちの摩周鯛の宿
第650回よその旅館ホテル
──「摩周鯛」が名物だそうですね。
「摩周鯛と呼んでいるのは『ティラピア』です。弟子屈町が養殖に着手したのがきっかけで当館でも養殖を始めたのですが、硫黄山の噴煙などの影響でなかなかうまくいかず最初は苦労しました。今は毎分400リットルの豊富な温泉を使った養殖池で約2万匹の摩周鯛を育てています。当館や周辺の住宅が暖房に使い温度が下がった温泉水を養殖池に引いているんですよ。温泉のミネラルのせいか病気もなく、1年で800グラムほどに成長します」
「そもそもティラピアは食感や味わいが鯛に似ているのですが、温泉水100%の池で育った摩周鯛はクセもなく淡泊な味わいで大変好評です。当館では、刺身、塩焼き、唐揚げの甘酢あんかけなどで提供しています。摩周鯛の姿を生かした『活き造り』も人気です」
──客層は。
「若い方からシニア層まで幅広く、いずれも個人のお客さまです。地域としては道内が6割、道外が4割程度になります。集客にはネットエージェントも使っていますが、多くは直予約のリピーターの方です。中には2週間に1回はお越しになる方もいます」
──川湯は源泉かけ流しの温泉が有名です。
「当館ももちろん源泉かけ流しですが、泉質は川湯温泉街とは異なる重曹泉です。男女別の内湯と露天風呂のほかに混浴露天風呂もあり、宿の規模の割には充実しています。もちろん24時間入浴いただけます」
「当館至近の『川湯温泉駅』は今年で80周年を迎えますが、ここは北海道で2番目に古い『安田鉱山鉄道』が走っていた場所でもあります。そういった地域の歴史ももっと広めていきたいですね」
【30室、1泊2食税込み6900円から】