素朴な田舎のもてなし
第583回よその旅館ホテル
──1901年創業とのことですが。
「創業以来、様々な文人墨客の方にとう留いただきました。宿の建物は、明治後期から平成の趣を感じていただけるものです。6月から大浴場風呂、渡り廊下、庭を改装しており、7月8日にオープン予定です」
──客層は。
「ゆったりとお休みになりたいというご夫婦やご友人同士、商談目的のお客さまなどが多く、男性の方の比率が高いのが特徴です。リピーターが多いので電話予約が中心ですが、次世代の専務が新しいお客さまの取り込みなども考え、近年ネット予約も受け付け始めました」
──料理はじめ、女将のこだわりがたくさんあるようですね。
「長野県内の地元のものにこだわり、手づくりに努めています。これからは旬の根曲がり竹やアスパラを供する予定です。春に仕込んだノビルのたまり漬けなども食べごろとなります。リンゴで育った信州牛のしゃぶしゃぶも好評で、今はタレに少し工夫するなどの試作をしています」
「決まりきったもてなしではなく、古い田舎の良さを生かした、自然体の心からのもてなしを大切にしています。手づくりの座布団、湯あみ着、ふきんなど、夏はうちわや蚊取り線香、冬は湯たんぽとこたつを用意します。そのためでしょうか、故郷に帰ってくるような感じで、お客さまが地元の納豆などを手土産に来られることもあります(笑い)。私どもも励みになります」
──温泉も良いとか。
「加水、加温なし、源泉100%の温泉を保っています。4代目が愛した温泉、『絞る』という地道な湯守の仕事を、専務が引き継いでいます」
【6室、1泊1万8950円から】