昔懐かしめる趣味の宿
第542回よその旅館ホテル
──宿の売りは。
「手作りの『地獄』があるなど珍しい趣味のものがたくさんある点です。03年に漫画家水木しげるさんらを招き『下北妖怪祭り』を開いたのがきっかけで、その時に作った着ぐるみや展示物を生かそうと旅館の向かいの元・土産物屋を『下北妖怪ハウス』として整備しています。60年代の商店街を感じさせる1/1ジオラマ『まぼろし商店街』や模型工作室などもあります」
「私が収集、製作した艦船や戦闘機の模型も展示しています。旅館の100畳敷きの宴会場は、今や半分以上が模型などの展示スペースです(笑)」
──客層は。
「中体連、高体連などの大会に参加する中高生が主ですが、60代のシニア層の方も多いです。なぜか関東、特に千葉、栃木あたりの方が目立ちます。集客は100%クチコミです。『さびれた田舎に泊まりたい』『コレクションを見たい』などいろいろな方が来ます。むつ市出身の映画監督・川島雄三の追悼に来た俳優の三橋達也さんの歓迎会を手伝うなど映画にも縁があるので、漫画、映画、特撮、模型、ガンなどが好きな方に特に楽しんでもらっています」
──食事は。
「海が近いので、新鮮なホタテやイカが中心です。希望があれば大間近くで揚がった本マグロも用意しますが、『運』次第です」
──課題は。
「『夫婦漫才』ができるようなお嫁さんに来てもらうことです(笑い)。今後は今の路線を深堀りして日本で他に類をみないほど『コア』な趣味の宿を目指します。むつ市内の恐山は亡くなった人との時間を取り戻せる山ですが、うちは子どもの頃など失った『あの時代』を取り戻せる宿にしたいですね」
【14室、1泊2食6825円から】