快い音があふれる
第708回よその旅館ホテル
──遠音近音の由来は。
「『遠近』と書いて『をちこち』と読まれます。鞆の浦には、波のささやき、海鳥の歌、波間を渡る風の声、仙酔島にこだます船のリズムと、耳に快いいくつもの音があふれています。遠く(をち)、近く(こち)、で奏でられる音色に包まれ、心に残るひとときを過ごしていただきたい想いをこめました」
──歴史を感じる建物ですね。
「前身の宿屋籠藤は、江戸時代に開業。多くの客人に交じり十返舎一九や井伏鱒二も逗留するなど文人に愛された宿でもありました。当館の顔である木造本瓦葦べんがら塗りの正面玄関は、往時の建築物を再生したもの。時代を闊歩した人々の息づかいが聞こえてくるような、趣あるたたずまいでお出迎えいたします」
──ロビーラウンジからの海も素敵ですね。
「当地の歴史にちなみ名付けられた『潮待ちブレンドコーヒー』でおもてなししています」
──客室のこだわりは。
「全部で5タイプあります。和モダンで設えた客室は、すべてオーシャンビューの温泉露天風呂付き。ウッドデッキも全ての部屋についており、波音を聴きながらの湯浴みが楽しめます」
──食事は。
「海が見えるダイニング『颯(そう)』で、瀬戸内の天然の真鯛など新鮮な海の幸を中心に四季折々の旬の味が楽しめます」
──お風呂は。
「貸し切り風呂が二つあり、宿泊のお客さまであれば無料でご利用いただけます。趣の異なる空間で、仙酔島を眺めながらゆったりと入浴できます」
──料金は。
「1泊2食で2万7300円からです」
【17室、61人収容】