日本旅館のおもてなしによる接遇力の向上や人材育成を目的とする資格検定「日本の宿おもてなし検定」で、城山ホテル鹿児島(城山観光=鹿児島市)の木下綾さんが1級に合格した。今年度の1級合格者は1人だけ。木下さんら関係者が8日、観光庁の秡川直也長官を表敬訪問した。
検定は、日本旅館協会、全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会、JTB協定旅館ホテル連盟が主体となって設立した委員会が2009年度から実施。23年度までの累計合格者数は、基礎レベルの3級が2万6577人、応用レベルの2級が7596人。近年、外国人の受験者も増えている。
人材の指導・育成を担うことができるレベルの1級は難関だ。今年度は、実技や面接を含む1級試験に12人が挑戦したが、合格者は1人だけ。1級合格者は木下さんを含めて累計31人しかいない。
木下さんは07年の入社で、宴会サービス部やブライダル部、人材開発部などを経て、現在は館内のイタリアンレストランの副店長。「鹿児島県には1級合格者がいないと聞いてチャレンジした。後輩や部下を指導する上でも、自分が頑張る背中を見せたかった。合格がゴールではないので、引き続き精進し、後輩、部下の育成にも力を入れていきたい」と語った。
観光庁の秡川長官は、試験の内容や日々の業務について質問した上で、「1級合格者がいるというのはホテルの自慢になる。私も休暇を取って訪れてみたい」と話し、木下さんの今後の活躍、おもてなし検定を通じた宿泊業の振興に期待した。
表敬訪問には、検定委員会委員長で日本旅館協会会長の桑野和泉氏(由布院玉の湯社長)、委員でJTB協定旅館ホテル連盟会長の宮﨑光彦氏(宝荘ホテル道後御湯社長)らが同行した。
木下さん(前列右)、秡川長官(同左)ら関係者