先日、とある観光の勉強会に参加し、日本政府観光局(以後、JNTOと略します)の中山理映子理事から「インバウンド観光の現状と課題」と題したお話をうかがう機会がありました。中山理事は「インバウンド観光をめぐる最近の動向」「訪日客の地方訪問意向」「地方誘客促進に向けたJNTOの取り組み例」の三つの項目について、詳細なデータを元にお話ししてくださいました。
現在、インバウンドのお客さんを地方へという流れを作り出そうとしていますが、「市場別 地方エリア訪問意向」のデータを見ると、東アジア・東南アジアでは、大都市以外の地方エリア訪問希望は8割以上、欧米豪・インド・中東では5~7割程度。そのほとんどが大都市エリアと地方エリアをセットで訪問したいそうです。
最も興味深かったのは、「今後の地方エリアへの訪問意向を高めるもの」について、台湾、香港、英国、フランスの4カ国それぞれに「観光コンテンツ」「受け入れ体制・アクセシビリティ」の二つの項目でアンケートを取ったデータです。香港では日本の観光コンテンツに魅力を感じるナンバー1は「温泉」でした。45.7%と約半数の方が日本の温泉を楽しみに訪日したいという結果。ちなみに台湾は第5位で43.3%。その点、英国やフランスは16~18%ほどでやや低め。4カ国に共通している地方への訪問ニーズは「その土地ならではの飲食」「その土地ならではの文化」「花見や紅葉、雪景色」です。ということは、プロモーション次第では、私たち日本の特有の文化にもっと興味を持っていただけそうです。
一方、「受け入れ体制・アクセシビリティ」の点では、台湾、香港、英国は「地方部への・地方部におけるアクセス」が第1位。やはり、アクセスを優先して旅先を検討する結果が出ました。ただ、フランスだけは、地方部へのアクセス以上に、「多くの人が訪れていない」地域へ旅したいという意向がトップでした。フランスの方は未踏の地を求めているようです。
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