【ちょっと よろしいですか 121】「ユニバーサルツーリズム」のチャンスがやってきた その1 山崎まゆみ


 令和6年度観光庁関係予算概算要求概要の具体的施策に「持続可能な観光地づくり」「地域を中心としたインバウンド誘客」「国内交流拡大」が掲げられています。インバウンドのオーバーツーリズム対策や高付加価値化事業、人手不足対策などが列記される中、「国内交流拡大」の2本柱の一つに「ユニバーサルツーリズム促進事業」と表記されていました。

 ユニバーサルツーリズム(以下、UT)は、今まさしく大きなチャンスを迎えている、と私は捉えています。
 私の専門の宿泊産業に関しては、これまでは地域に一つの宿(点)がUTに力を注ぐのみで、他はさほど…というのが正直なところ。先進的とされている地域でも、実際は熱心な人が数人いるくらいで、地域全体が一体となって(面で)取り組むのはごくまれです。

 先日、山梨県笛吹市石和温泉からご依頼を頂き、「心くばりと備品で明日からできる『親孝行温泉』 バリアフリー温泉の事例とはじめの一歩~大きなマーケット三世代旅行の受け入れ~」という演題で講演をしました。

 石和温泉は源泉掘削し、温泉地として整備されたのが昭和36年。昭和40年代の高度経済成長期からコロナまん延前まで、団体旅行の宴会で収益を上げてきました。

 石和温泉旅館協同組合古屋公士理事長は「コロナまん延中に客層が変わり、宴会を主とした温泉地から転換期を迎えました」と言います。

 令和5年度から5カ年計画(2023年~2027年)で「第3次笛吹市観光振興計画」が話し合われました。基本計画の重点方針に「医療機関との連携」があり、医療、介護福祉団体と連携し、福祉の充実とユニバーサルデザインを融合した観光地域づくりを推進すると掲げられています。古屋理事長は「石和温泉は日本一のバリアフリー温泉を目指す」とおっしゃっています。

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