【ちょっと よろしいですか 72】自分と相性がいい温泉探し 「マイ温泉」の旅  山崎まゆみ


山崎氏

 跡見学園女子大学で「温泉と保養」を教え始めてから、今年で5年目を迎えます。そして本年度から新たに、「取材学」の授業を受け持つことになりました。コロナ禍は続いていますが、いま張りきって、秋学期の準備をしています。

 毎年、多くの学生さんが「温泉と保養」を受講してくれますが、その受講理由は、「友達と行く時に参考にしたい」がほとんどで、実用情報が求められています。そこで授業にも情報を入れながら、楽しく学び、温泉旅に出掛けるきっかけになるように心掛けています。

 また学生さんたちに「温泉に何を期待しますか」と尋ねると、「美肌」「冷え性」といった効果効能をあげる人が多いので、自分と相性の合う温泉を探すことを提案しています。

 その名も、「マイ温泉」。

 自分と相性の合う温泉なんて、たくさん入らなければ分かりません。そのためには、泉質の異なる温泉に短期間で多数入って、お湯の違いを感じることから始まります。お湯が自分の肌に寄り添うか、むしろ立ち向かってくるか、それを知るために入り比べをするのです。入浴後は分析表で泉質や数値を確認します。

 これが「マイ温泉」を見つける旅です。

 授業で、私がよく例に挙げるのが栃木県の塩原温泉です。塩原温泉は「温泉のデパート」です。約60軒の宿泊施設に対して、多種多様な源泉が150カ所で湧き、しかも15キロ圏内に集中しているのです。

 塩原温泉の湯の力は、「塩原温泉郷公式ホームページ」を見れば一目瞭然で、公衆浴場やそれぞれの旅館、入浴施設ごとに「温泉カルテ」がweb上に表示されています。入浴の前後に「温泉カルテ」を確認することで、温泉の成分が理解できます。まさに、「マイ温泉」を見つけやすい環境が整っているのです。

 この「マイ温泉」は、女子学生さんにはすこぶる人気です。前年度に教えたある学生さんが、翌年の授業の教室前で私を待ち構え、「授業で習った通りに、『マイ温泉』を探しました」と湯めぐりの成果を楽しそうに報告してくれたこともありました。その学生さんは、確か2泊3日で、東北の泉質の異なる温泉にたくさん入る旅をしていました。

 真面目な日本人は、決められたことをきちんと遂行するのを好む傾向があります。スタンプラリーが集客につながるのは、この日本人気質ゆえんだと感じますが、「マイ温泉」探しにも応用できるのではないでしょうか。

 ここからは私のフラッシュアイデアですが、例えば、広域の地域で、「マイ温泉探しルートマップ」を作り、温泉に入り比べしやすい旅行ルートを利用者に提案してみたらいかがでしょうか。旅に持参する温泉を学べる冊子を作ることも大切ですね。

 そのルートに従って、先ほどの学生さんのように旅すると、結果的に2泊か3泊することになり、迎える地域にも訪ねるお客さんにも双方でメリットがあると思います。

 大学では座学で温泉を教えている身としては言いにくいですが…、温泉はやはり「実践」しないと!

 2回目のワクチン接種も国民の半数が終えたと報道がありました。空前の旅行ブームが目の前に来ています。どうぞ、ご準備を。

(温泉エッセイスト)

 
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