今年の2月からYahoo!ニュース個人で「山崎まゆみの観光温泉学」のページが新設されました。Yahoo!の担当者はついていますが、基本的に公開前のチェックを受ける必要はなく、書く内容も自由。私の担当者はWeb知識も豊富ですし、親切な方なので相談しながら更新しています。初回原稿は、コロナまん延中でも実施された旅館甲子園について。その後、コロナ禍が拡大しましたので、その中でのおもてなしとして「女将たちの自筆の手紙」や、春の大型連休を迎えた旅館の皆さんの本音などもつづっています。
Yahoo!は、どの記事がどのくらい読まれているのか、リアルタイムでPVを確認することができます。
これまで20本近い原稿を更新しましたが、常にPVを意識してきました。そんな経験から気づいたことを皆さんにお伝えします。
圧倒的に読まれた記事は「ひとり温泉」についてでした。またWebでは犬や猫の可愛らしい動画がPVを稼ぐと言われていますが、やはりそのセオリー通りに、私のページでも「猫女将」の仕事ぶりを書いた記事が人気でした。
タイトルとサムネイル(巻頭に使われる写真)も大きく影響します。タイトルは具体的なほどよく読まれます。サムネイル写真も分かりやすければ分かりやすいほどいい。私の原稿は全てに温泉が関わりますので、温泉だとすぐに分かる写真に越したことはない。つまり一目見て、記事の大まかな内容を把握できるようになるのがコツです。
こうして、Yahoo!にページを設立してもらったことで、一般の方の温泉や旅館へのニーズを実感し、分析できる機会を得られたわけですが、改めて思い知るのは「ひとり旅」「ひとり温泉」の人気ぶり。
本連載の読者は宿泊業の方が多いので、1部屋に1人のお客さんが利用する「ひとり温泉」を受け入れることは、ビジネスとしては厳しいと重々承知しています。しかし、このニーズには逆らえないのではないかと思うに至り、女性が好む「ひとり温泉」の条件を列記してみます。
「ひとりでも、他のお客さんの目を気にすることなく食事ができる環境」。部屋出しや個室ならベターですが、多くの方と同じ食事処の場合は、せめてパーテーションで仕切ってほしい。
「ストレスにならない食事量」。女性のひとり温泉はハレの場として利用するのではなく、疲れを取るために利用するケースが多いです。ですから、たくさんの量より少量で質のいい素材の食事を取りたい。料理を残すことは気持ちの負担になります。
「部屋以外にもパブリックスペースに居心地のいい場所がある」。言うなればライブラリーやロビーなどですが、広ければよいわけではなく、こもれるような狭い空間だと喜ばれます。そこにおいしいコーヒーやクッキー等の甘いものがあればさらに良し。
湯上がりに血行が良くなるのでスパが併設されていたら予約する動機になります。
さらに可能なら…料金がプラスされていいので、アーリーチェックイン、レイトチェックアウト制度があるといいですね。連泊したくともできない場合、旅館での滞在時間が長ければ、連泊をしたかのようなぜいたくさを得られます。
ひとり温泉に限りませんが、これから冷える季節は湯たんぽ貸し出しサービスも喜ばれます。
女性はひとり温泉がしやすい環境が整っていればリピーターになりやすいです。多少価格を上げてでも、女性のひとり温泉を好待遇で迎えてはいかがでしょうか。
(温泉エッセイスト)