雲仙温泉は開湯1300年を誇る日本屈指の名湯。古くから湯治場として、観光地として、国内外の多様な人々を受け入れてきた。今年は日本第1号の国立公園指定(昭和9年3月16日)から90周年のメモリアルイヤーに当たり、記念式典(3月24日、雲仙観光ホテルで開催)をはじめ、「ONSENガストロノミーウォーキング」など、数々の関連行事が予定されている。
温泉は白濁の硫黄泉で、源泉温度は60度ほど。「地獄」から湧き出る温泉がそのまま浴場へと届けられ、場所によっては殺菌効果も高い泉質といわれる。
コロナ前から宿泊施設のリニューアルが進み、温泉街は従前から大きく変貌しつつある。観光客の変わりゆくニーズに対応している。
雲仙の春の魅力の一つ、ミヤマキリシマ。色付く時の雲仙岳登山やロープウェイによる空中散歩の体験がこの地の人気のコンテンツになっている。雲仙地獄周辺で4月下旬ごろから咲き始め、池ノ原園地や宝原園地の群落は5月上旬から中旬ごろ。その後、仁田峠一帯へと移り、5月中旬から下旬ごろが見頃となる。
地域食材にこだわった旅館の食事の数々や、地域に根付く食も魅力的。先日は雲仙市が、専門誌などが創設した「美食都市」に認定されている。火山がもたらす肥沃な大地に多様な雲仙野菜が実り、山間部は酪農が盛ん。火山に降り注いだ雨が流れ、にじみ出る水と養分は有明海を豊かな漁場にしている。
旅館・ホテル、美術館など、さまざまな事業所で働く新入社員を対象とした講座「はじめての雲仙さがし」が地元委員会の主催により開催されている。温泉街で働く先輩たちが講師となり、地元の自然や歴史、文化を座学や現地の見学を通して学んでもらうもの。地域が一体となり、人財と訪れる人たちへのもてなしの心を醸成している。
■雲仙観光局TEL0957(73)3639。
仁田峠に咲くミヤマキリシマ