前号ではメタサーチおよび価格の不均衡性の是正について述べたが、これはウェブの世界の中だけの話ではない。今号ではウェブ予約と電話予約の価格の関連について述べたい。
その昔、旅館の料金は電話予約をすると、先に予算を聞かれ、それに応じて料理や部屋を提案するというスタイルで、料金があってないような状況であった。その後、ウェブの登場により料金の透明性が出てきて、誰でもどの日にいくらで泊まれるかということが閲覧可能になった。
そうした変遷の中で、現在何が起きているかというと、収益を高めるため、料金コントロールをウェブ上で実施する施設が増えてきたことにより、電話予約でお伝えする料金とウェブの料金で全く違うという現象が起きるようになってきた。もちろん戦略的にそのようにしているケースでは問題がないのだが、中には電話予約を受けた担当者が自施設の商品理解をしていないため、料金が分からない、あるいはご案内が面倒くさいという心情になり、「ウェブから予約してください」と言って電話予約を遮断してしまうケースもある。そのお客さまが素直にウェブ予約をしてくださればよいが、そもそもウェブできないから電話をかけてきているケースもあるので、場合によっては不親切な施設だという印象を与え、予約を取りこぼしてしまうリスクもある。
このような問題を解決するために、まずは以前にも提唱したが、商品や価格体系をシンプルに設計すべきである。価格体系をシンプルにすべきというのは、料金ランクを少なくするという意味ではなく、あるランク設定の日にどの部屋がいくらであるかというのを誰が見ても分かりやすいようにシンプルにすべきという意味である。
その上で、どの予約担当者(あるいは別のスタッフ)が電話を受けても同じご案内ができるようにオペレーションを構築すべきである。
いくらウェブ予約が主流となったとはいえ、電話でのご予約のお客さまは一定数いらっしゃるので、価格の不誠実化にならないようにきちんと仕組み化することが大切である。
(アビリティコンサルタント・プライムコンセプト取締役 内藤英賢)