今年の夏の予約状況は、新型コロナウイルスとそれを巡る社会情勢の変化の影響を大きく受ける形となった。現状の全国各地から寄せられる情報を基に対策について考えていきたい。
まず、Go Toキャンペーンが賛否両論を含んだまま開始となった。現状では割引販売も開始され、お客さまが35%オフという非常に得な価格で旅行ができる条件が出そろった。しかしながら、全国各地の8月の予約状況は芳しくなく、かつてないほどの厳しい夏を迎えそうである。お盆を中心に収益確保を考えていた宿泊業界としては大打撃である。予約状況が芳しくないため、必然的に単価を落とし稼働優先施策を取らざるを得ないのだが、そもそも35%オフという非常に魅力的な価格になっているので、価格訴求がどこまで購買行動に影響を及ぼすのかは未知数である。
そのような中、まず実施すべきことは前号でも述べたGo Toキャンペーンを分かりやすくお客さまにお伝えすることだ。電話予約、自社予約システム、OTA、還付金と異なるルールで動くGo Toトラベルキャンペーンを分かりやすく伝えることが大事で、煩雑なこれらのGo Toの情報をまとめたコンテンツをホームページ上に掲載しておくと、効果が高い。お客さまも便利であるし、お電話でGo Toの質問をいただいた時もご案内するコンテンツがあるとオペレーション負荷も軽減できる。
また、全国で感染者が拡大して再び消費マインドが低下しつつある現在においては、新型コロナウイルスの対策度合いが、集客と顧客満足度に大きな影響を与えるので、コロナ対策についての取り組みを館内掲示やホームページでしっかりと発信できているかも再点検が必要である。
最後に、大いなる期待を寄せていたGo Toトラベルキャンペーンであるが、現状では、最大化しているとは言い難く、高単価で収益確保するもくろみであった施設も多いであろうが、現状ではいったん、稼働優先の戦略にかじを切った方が売上最大化する局面であると思われる。秋の団体旅行も冷え込んだ状況であるので、現状の自施設の予約状況やエリアの動向を踏まえて、夏と秋の戦略を再考するタイミングだと思われる。
(アビリブ・プライムコンセプト取締役 内藤英賢)