10月11月と、依然として新型コロナの新規感染者が低水準で推移していることもあり、予約状況は良化し続けている。Go Toキャンペーンはないものの県民キャンペーンも8割以上の地域で再開され後押しをしている。
ただ、万事良しというとそういう状況でもない。好調なのは個人旅行のみに限られており、団体旅行の動きはまだまだ鈍い。ましてやインバウンド需要は依然として全く回復していないので宿泊業界全体として見ると、コロナ前水準には全く届いていないというのが実態であろう。特に、個人旅行需要に偏っているために金、土、日に需要が集中しており、平日の動きが弱いという状況が続いている。
そして、個人旅行需要への偏りはさまざまな特徴を生み出している。まず言えることは、予約状況が好調な宿とそうでない宿の明暗がはっきりと分かれているということである。以前にも述べたが、アフターコロナを見据えても、とても大事なポイントなので、再び記載しておきたい。
好調な宿の特徴(1)は、Web販売が強い宿である。個人のお客さまの大多数がWebで予約をするので当然ながら、Web販売に長けた宿に予約が集中している。10月、11月と既にコロナ前水準にまで売り上げが回復している状況である。
好調な宿の特徴(2)は、プラスワンの特徴を持っている。これも個人旅行の偏りがもたらした結果であるが、個人のお客さまが選びやすい特徴を持った宿が好調である。「インフィニティプールがあります」「絶景の貸し切り露天風呂が無料です」「全室お部屋食です」など、個人のお客さまの満足度が高い特徴を持った宿の予約状況が好調だ。
もはや「何でもそろっています。どんなお客さまでもいらっしゃい」よりも「当館は○○○○というお客さまにとって最適な宿です」というPR方法でないと通用しない時代である。
個人のお客さまに選ばれている宿は、既にコロナ前水準にまで売り上げが回復しており、アフターコロナになっても、個人旅行の伸長は加速すると想定される。新型コロナさえ収束すれば大丈夫というのは危険な幻想である。自施設は、どのような個人のお客さまを取り込むのか、きちんと見定めて対策を打っていき新時代に備えてほしい。
(アビリブ・プライムコンセプト取締役 内藤英賢)