岸田首相の記者会見の中で、全国旅行割と共に、インバウンド解禁についても発表されていたので、今号では復活が予想されるインバウンドについて述べていきたい。表明されたインバウンド対策としては「1日当たりの入国者数の上限撤廃」「個人旅行の解禁」「ビザなし渡航の解禁」の3点があり、個人旅行の解禁とビザなし渡航の解禁が特に大きな意味を成す。ワクチン接種や陰性証明条件があるものの、それでもコロナ前並みの水準に条件緩和がなされるので、今度こそインバウンドの復活を期待せずにはいられない。実際、既に海外OTAを用いた個人予約が増加している動きが見てとれる。
コロナ前の訪日外国人の国別データを見ると、1位=中国960万人(約30%)、2位=韓国558万人(約17%)、3位=台湾489万人(約15%)、4位=香港229万人(約7%)となっており、実に東アジアで訪日外国人の70%を占める形になっている。ここで注視しておきたいのが1位の中国である。中国はいまだゼロコロナ施策による渡航制限があるため、自由に往来ができない。したがって、日本のインバウンド復調は30%を失ったままというのが実態である。とはいえ、2位の韓国や3位の台湾の方は実際に動きだしているので、その流れをキャッチしていきたい。
インバウンド対策としては(1)集客(2)受け入れ態勢の2点がポイントになる。まず、(1)集客であるが、これはやはり海外OTAが強い。コロナ禍より2年半がたち、失ったインバウンドと共に、メンテナンス不足に陥っていたり海外OTAの最新ルールが把握できていなかったりするケースが散見されるので、ぜひ今一度見直しを入れてほしい。特に海外OTAはレートパリティ(価格の公平性)といわれる、他社と価格がそろっているかを重視するのでその点は要チェックである。また(2)受け入れ態勢についてであるが、これは人手不足の現在においては頭が痛い問題ではある。そこで、テクノロジーを用いた対策をお勧めしたい。特に今は言語翻訳機能が進んでおり、以前紹介した弊社の「プライムコンシェルジュ」(館内案内のデジタル化システム)も多言語に自動翻訳ができるので、海外ゲストが来てもスムーズに館内のご案内が可能である。
今後の日本の観光はインバウンドにかかっているといっても過言ではないので、その復活を心待ちにしたい。
(アビリブ・プライムコンセプト取締役 内藤英賢)