昨今、SDGsやサステナブルという言葉を聞く機会が増えた。政府も脱炭素社会の実現に向けて政策を推し進めようとしている。そこで、今回はサステナブル&宿泊業界での取り組みについて考えてみたい。
まず、サステナブルについて簡単に説明すると、「今まで人類は豊かになるために発展を追い求めてきたが、結果として異常気象や貧富の差の拡大などの問題も顕在化するようになった。これからの社会は気候変動や貧困の撲滅などにも対処するサステナブル(持続可能)な社会を目指すべきだ」という現在の世界共通の概念のことである。したがって、どの活動をすることが正解ということはない。ただ、それでは取り組みにくいことも事実であるので、具体的な取り組み事項について考えておきたい。
最近、観光庁がリリースした「宿泊業の高付加価値化のための経営ガイドライン」の中の努力事項にチェックポイントとして、具体的なアクションが挙げられている。また、Booking.comや楽天トラベルといったOTAにおいても同様の項目があるので、チェックをしてみてほしい。
カテゴリ別で言うと「廃棄物の削減」「節水」「エネルギーや温室効果ガスの削減」「自然の保護」「地域貢献」などがあり、さらに具体的なアクションまで明示されている。例えば「節水」の項目に「連泊時の清掃不要の選択肢がある」とある。これは、既にスタンダードになりつつある「ECO連泊プラン」という連泊時に清掃をしない取り組みのことである。
また、「ごみになる可能性のある配布物、アメニティなどを減らしている」という項目があるが、これはまさに昨今増えている「アメニティバイキング」の取り組みのことである。少し視点を変えた「地元のガイドや事業によるツアーやアクティビティを提供している」という項目もあるが、宿がアクティビティを紹介することも、サステナブルな取り組みの一つなのである(地域貢献)。
こうしてみると、サステナブルな取り組みというのは決して難しいものではないことが分かると思うので、項目をチェックしてみてほしい。よくよく考えてみると、サステナブルな取り組みというのは、昔から日本が大事にしてきた「もったいない」という精神だったり「お互いさま」の精神だったりするので、日本の宿泊施設は取り組みやすいのではないかと思う。
(アビリブ・プライムコンセプト取締役 内藤英賢)