今号では「フォトジェニック」をテーマに述べたい。フォトジェニックとは端的に言えば、「写真写りが良い・写真向きな」という意味であるが、さまざまな業界でこのことが注目をされている。
なぜ、写真写りが良いものが注目をされているかというと、スマホとSNSの発達に寄るところが大きい。誰しもがスマホで気軽に写真を撮り、それが珍しかったり、きれいだったり、思わず誰かに伝えたくなるものであったら、SNSにアップしたり、LINEなどで知人に伝えるという行動を取る。つまり、裏を返せば、思わず写真を撮りたくなるようなものが用意できれば、その写真は瞬く間に日本中、世界中に伝播していくのである。
たった1枚の写真をきっかけに観光の流れが変わることは、あまたの事例が証明しているので、たかが写真1枚と侮らず、地道に取り組む価値のあるテーマである。したがって、これからの時代を考えると、このフォトジェニックな視点をもった取り組みをしていくことは大事なポイントとなる。
では、旅館ホテルにおいては、どんなことが可能であろうか。
まずは、料理について可能性が考えられる。外食産業では既にフォトジェニックは当たり前のキーワードになっており、検索するだけでもさまざまなフォトジェニック料理が掲載されているので参考にすると良いであろう。
多いのは「大きい○○」「パッと見ると、○○には見えない」「かわいい(キャラクターもの)」や、動画も組み合わせて「シズル感」「予想外の変化が起こる」などがある。
一点、注意したいのは、フォトジェニックに気をとられる余りに奇をてらった料理ばかりになりすぎでもいけない。お客さまは、あざとい思いを感じると逆に白けてしまうからである。非常にバランスが難しいところではあるが、今後、新しい料理や献立を考える際の一つの視点の一助としてほしい。
次号では引き続き、具体例を考えながらフォトジェニックについて考えていきたいと思うが、まずはこの視座をもつことを心掛けてほしいと思う。
(アビリティコンサルタント・プライムコンセプト取締役 内藤英賢)