国連世界観光機関(UNWTO)は、世界青年学生教育旅行連盟(WYSE)と共同で行った若年層旅行者に関する調査レポート「パワー・オブ・ユース・トラベル」を発表した。レポートによると、若年層旅行者(15~29歳)は、世界の海外旅行人口10億人の約23%を占め、お金はないが旅行先に長く滞在するため、消費額は平均以上に高い。
「ミレニアルズ」と呼ばれる1980年代から2000年代生まれの世代が中心で、地元の暮らしを求め、他者との交流に積極的。行動範囲が広く、都市部以外にも足を伸ばす状況が明らかになった。
【若年層旅行 五つの特徴】
・経済的インパクト
若年層の旅行は滞在期間が非常に長いため、旅行1回当たりの消費額は平均2160米ドル(14年調査、約23万8千円)。これは海外旅行全体の平均額1097米ドル(13年調査、約12万円)のほぼ2倍となる。
・情勢に影響を受けない
景気悪化、政治的事件、感染症の流行、などに左右されにくい。
・地域社会との関わり重視
訪問先の地元コミュニティとの関わりを重視し、地域社会に直接お金を落とす。
・目的志向の旅行
レジャー目的よりも、就労体験、勉強、ボランティア活動が目的。
・海外留学生の経済効果
発展途上国の所得水準が上昇し、先進国への留学が増加。海外留学生は、その同伴家族もいるため、経済効果が大きい。
若年層旅行市場の規模は、09年は1900億米ドル(約21兆円)だったが、14年には2860億米ドル(約31兆5千億円)に増加。さらに20年には4千億米ドル(約44兆円)、人数ベースで3700万人に達すると推計している。
【日本への影響】
世界的に若年旅行者が増加、日本への若年層旅行者も例外なく増加しており、特に留学生受け入れが増加傾向にある。外国人留学生在籍状況調査結果(16年度)によると、16年5月1日現在の就学生数は23万9287人(前年比14・8%増加)。
○留学生の実態
・大学(学部)生が最も多い=7万2229人
・地域別構成比=アジア93・0%、欧州3・3%、北米1・3%
・男女比=男性56・4%、女性43・6%
・地方別留学生数(比率)=関東55・6%、近畿16・9%、九州11・0%
(コレリィアンドアトラクト代表取締役)