深大寺だるま市(東京都調布市)
蕎麦(そば)の名所として知られる調布市の深大寺。湧水に恵まれ、土の質が米作りよりも適した土地だったことから蕎麦作りの盛んな地域となった。そして今でも蕎麦屋が軒を連ねる通りがあるが、その中心にあるのが地名の由来ともなっている天台宗の古刹、深大寺だ。
深大寺は733(天平5)年の開山といわれ、東京では浅草寺と並ぶ古い歴史のあるお寺として知られている。また毎年3月3、4日には盛大なだるま市が開かれ、こちらは高崎だるま市、毘沙門天だるま市と並び、日本三大だるま市の一つに数えられている。このだるま市を見ようと蕎麦屋が並ぶ門前町を抜け、深大寺境内へとやって来た。山門をくぐると眼前に広がるのが、一面の真っ赤な景色。大小さまざまなだるまが並べられているのだ。近隣のあきる野市や昭島市などの都内各所をはじめ、高崎や埼玉から来ているだるま屋が並ぶというのだから、その活気はものすごい。やはりそのだるまのルーツによって、一つ一つ顔が違うのは見ていておもしろいものだ。「近寄って見ていってよ。この顔なんかいいんじゃない」。こんな売り文句が左右から聞こえてくる。カラフルなだるまからアマビエだるままであり、かわいらしいものだ。
そして深大寺のだるま市は、だるまを手に入れただけでは終わらない。なんとお堂へ向かうと、お坊さんに目を入れてもらうことができるのだ。右目には物事の始まりを意味する梵字(ぼんじ)の「阿(あ)」を入れてもらえ、1年後に願い事が叶った際には「吽(うん)」を書いてお寺に納めてくださいとのことである。ぜひ感謝を込めて梵字が書けるように、願いがかなってほしいものだ。
山道へ戻ると、たくさんの露店が出ているのもお祭りの風物詩といえる。名物の草饅頭にお団子の焼ける香ばしい匂いというのは食欲がそそられる。だが、深大寺へ来たらやはり蕎麦。のれんをくぐり隣の席にだるまを座らせて、席へ到着した天ぷら蕎麦を味わって帰路につきたい。
(お祭りトラベラー・髙橋佑馬)
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表情の違いを楽しめるのもだるまの魅力