古河桃まつり(茨城県古河市)
茨城県古河市で毎年3月に行われる「古河桃まつり」は、その名の通り「桃」に関連するお祭りだ。なんでも、江戸時代に古河藩主土井利勝が、領地に桃を植えさせたことに由来するらしい。そんな由来もつゆ知らず、2017年に私は「ささら獅子舞」を目当てにこの祭りを訪れた。その時の模様をお伝えしたいと思う。
会場となる古河総合公園は、現在は「古河公方公園(こがくぼうこうえん)」という名前が付いている。公方とは「鎌倉公方」のことで、室町時代に東国統治のために設置された鎌倉府の長を指す。その鎌倉公方であった足利成氏が古河に移って、現在の公園がある台地に館を構えたという歴史にちなんで、「古河公方公園」という名前が付けられたらしい。
またこの公園には1500本の花桃が植樹され、春になると咲き誇る。実際に私が桃まつりを訪れた際も、満開の花桃に迎えられたと記憶している。しかし、そんな桃には目もくれず、私はイベントが行われる会場へと歩を早めた。お目当ては、なんといっても「ささら獅子舞」だ。
「ささら獅子舞」とは、茨城県古河市に伝わる郷土芸能だ。先ほどご紹介した古河公方足利成氏の命により、この地に流行した悪疫の平癒と退散を祈願したことが「ささら獅子舞」の起源とされている。獅子舞というと、一般的に1頭の獅子が舞うあの形式をイメージされる方が多いかもしれないが、「ささら獅子舞」は、関東近郊に分布する「三頭立て獅子舞」の系統。その名の通り、3頭の獅子が登場して、笛と太鼓の音に合わせて舞うことを特徴する。
ステージに駆けつけると、早速ささら獅子舞の演舞が始まる。素朴な笛の音に合わせて、役割の違う3頭の獅子が軽快に舞う姿はとてもかっこいい。ひとしきり舞うと、今度は客席の中を練り歩き、間近でその姿を鑑賞することができた。
2022年は残念ながらイベントと出店は中止となってしまった。来年は祭りの再開を期待したい。
(お祭りライター・小野和哉)
【オマツリジャパン】
日本初の祭りサポート専門会社。「祭りで日本を盛り上げる」を目標に掲げ、祭りのコンサルティング、プロモーション、日本最大級のWEBプラットフォーム運営など、地方創生に取り組む。https://omatsurijapan.com
胸元に鼓を持つのが「三頭立て獅子舞」の特徴だ