姫路ゆかたまつり(兵庫県姫路市)
日本の祭りといえば、浴衣である。屋台が立ち並び、神輿(みこし)が練り歩く会場ならば、浴衣姿で楽しんでいる見物客もそう珍しいものではない。だが、毎年6月22日より2~3日、兵庫県姫路市にて開催されている「姫路ゆかたまつり」はその浴衣がお祭りの主役となる。
この祭りの発祥は江戸時代中頃。姫路城を護る「長壁神社」の神を遷座(移動)させた際にはじまったとされている。儀礼用の改まった服を持っていなかった町民であっても、浴衣で参加してよいと定められたことがこの神社の風習となった。ちなみに、浴衣が主役である同趣旨の祭りは全国にあるようだ。
その特徴は言うまでもなく、浴衣に関連した祭事であるということ。なにしろ名前が「ゆかたまつり」なので、おのずと浴衣を着て参加しようという気持ちにさせられる。よって、他の祭り以上に多くの参加者が浴衣姿で露店をめぐり、納涼を楽しめるのだ。
単なる精神的なメリットだけではない。姫路市は浴衣で参加する利用者に対して「来場特典」を用意している。その内容はローカルバスの運賃半額や周辺施設の入場料無料、そのほか商店街の割引など至れり尽くせりで、非常にお得なものとなっている。
祭りの醍醐味(だいごみ)である露店の数も十分。例年140店舗前後が出店する光景はなかなかの迫力で、なおかつ選り取り見取りだ。「祭りに行くなら露店を巡らずにはいられない」という方でもきっと満足できるだろう。レトロな雰囲気が美しい屋台照明の光は写真映えも期待できる。
注目したい催しの一つが「子どもゆかたパレード」。色鮮やかな浴衣に身を包んだ「姫路お城の女王」と地元の子どもたちが、小さな走馬灯片手に姫路城下を練り歩く。内容だけ聞けばどこか「ゆるさ」が感じられるのだが、実際は老若男女の参加者の多くがずらりと行進に加わるので、これがなかなかの迫力。自分もいっしょに浴衣姿で歩き回ってみたくなるだろう。
(お祭りレポーター・岩崎隼人)
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色とりどりの浴衣を着たパレードの参加者(写真提供=姫路市)