【コロナ禍を乗り越える 宿経営サバイバル塾 13】支援強化の緊急要望を展開 全旅連ポストコロナ調査研究委員会


 緊急事態措置ならびにまん延防止等重点措置が全都道府県で終了した。東京都でいうと、2021年1月から9月末までの273日のうち、実に245日間が両措置下にあったことになる。

 新規感染者数の減少やワクチン接種の進展で行動制限の緩和が視野に入ってきた。私ども観光業に従事するものにとって、待ちに待った状況である。感染症対策には十分に配慮しながら、お客さまをお迎えしていきたい。

 さらに世はまさに「政治の季節」を迎えている。自民党・岸田新総裁のもとで行われる総選挙は、観光立国の歩みを継続する意味でも大きな意味を持っている。

 この状況下で全旅連・ポストコロナ調査研究委員会では、「宿泊業に対する支援強化の緊急要望」をまとめた。

 第1番目は、「経営および金融支援の強化」である。昨年来、政府による各種支援制度は用意されてきた。しかし、観光業や宿泊業に対する制度は十分なものといえるであろうか。飲食業に比して、宿泊業へは直接的支援金等は存在しない。多くの宿泊業者は、コロナ禍における特別融資や雇用調整助成金の特例等で資金繰りをしている。

 この1年8カ月におよぶ行動制限・自粛要請の中で消滅してしまった消費は、宿泊業者の責に帰すべきものではない。よって、今後、観光・旅行が通常に戻ったとしても、コロナ禍で発生した負債を背負ったまま、観光立国を支える基盤としての宿泊業を継続できるのであろうか。このような疑問から支援強化のポイントを整理した。

 第2は、「観光消費喚起の支援」、「行動制限の段階的緩和」を促進してもらうことである。政府の新型コロナ分科会が提唱した「ワクチン・検査パッケージ」の具体的運用をお願いし、需要を喚起してほしいということである。

 そして、3番目は、「感染症対策に対する支援」である。宿泊施設は、旅行者の宿泊だけでなく、パブリックなスペースとしても活用いただいている。この「場」を安心・安全にご利用いただくためにも対策機器や消毒液などの消耗品は必需品となっている。これまでにも各都道府県において、対策費用の補助をいただいているが、その継続・支援強化をお願いしたい。

 この三つのカテゴリーにおいて、合計20項目の要望をまとめたものが「宿泊業に対する支援強化の緊急要望」である。全旅連では、全国の組合員に「要望リーフレット」を配布し、国会議員、地方自治体の首長、地方議員をはじめとする方々に「手渡し活動」を展開している。観光立国の礎を支える宿泊業を守っていくためにも、この「政治の季節」に私たちの実情を訴え、要望に耳を傾けてもらえる動きをしなければならないと思っている。

 まだ、コロナ禍は終息したわけではない。第6波の到来も警戒されている。観光業・宿泊業の経営は先行きが見えないところであるが、経営者の真の力量が試される場面でもある。当委員会では、少しでも経営の役に立つ活動を継続していきたいと考えている。

 【ポストコロナ調査研究委員会】

 
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