待ちに待った緊急事態宣言の解除。10月1日より各都道府県で解除となりました。世の中を覆っていた大きな繭玉が解けていく感覚を日本国民の全てが感じられたことだと思います。
本来は島国だから水際さえ確実に手厚い予防線が張られていればここまでの感染拡大はなかったのではないか?と残念な気持ちが先に立ちます。
高齢者から始まったワクチン接種で高齢者の感染減少を踏まえ若者のワクチン接種希望者が増えたことは、大変喜ばしいことです。しかし一番旅を楽しまれる世代の中高年層の方々は「旅行に行きたいけれど、まだ我慢ができる」。そんな気分が感じられドカンというほどの人流は起こっていません。
しかし海外は平常への回復に超スピードで移行しています。欧米主導のインバウンド観光復興にいかに遅れず政府として国家戦略を策定実行していただくかが大前提です。インバウンド観光は国際収支の上でも地方創生でも各地が急速に復興するための一番早い手立てと思います。今後は以前の東南アジア方面からでなく欧米の旅行者に対応する準備が必要な時だと考えられます。
欧米の旅行者は滞在期間が長いのが特徴で、1カ所を拠点とし、近隣だけでなく長期の大荷物を置いて軽装で日本中を観光しようとされ、対象とする部屋には今後洗濯機や乾燥機をバストイレと一緒に完備することが求められると考えます。
一方、日本のお客さまは非日常を求めて来られますので、それぞれを小回り良く対応するため、ご宿泊される方に合わせて意匠として切り替えられる等の工夫が必要でしょう。
ホテルとは異なり旅館は一つの部屋を何通りにも衣替えできるという利点があり、それぞれの地域の独自性にプラスするアイデアを駆使できます。今ならゆっくりその時間を取って独自のスタイルで世界を受け取る準備の期間と信じ、前向きに向かってまいりましょう。
(京の宿 日昇別荘 代表取締役 田中美岐)
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【委員会より】
東京都をはじめとする1都3県で飲食店への時短要請や酒類提供の制限がほぼ解除されました。2021年になって初めての出来事でもあり、消費者の方も少し戸惑っているかもしれません。恐る恐る元の生活に戻すといった状況ではないでしょうか。
そのような状況に対しては、受け入れ側も安心してお過ごしいただける環境を用意することが重要になります。また、従業員の皆さんの受け入れ意識というものも大切な要素になると考えられます。
もちろん、これまで大きな痛手を受けている中で悠長なことを言える環境ではありません。しかし、サービスを提供する側も休業などでこれまでの体制は整っていないという現実もあります。
利用者の安心感を醸成するためにも宿泊業者が検討するべき課題は増えていくものと考えられます。