【コロナ禍を乗り越える 宿経営サバイバル塾 21】人との距離、これでいいのか 全旅連ポストコロナ調査研究委員会


 2020年1月から新型コロナウイルス感染症に翻弄(ほんろう)され続け、27カ月もの時間が過ぎようとしている。

 感染拡大が落ち着きをみせ、減少が続くと景気喚起策が打たれ、観光客のお客さまや修学旅行、一般の宿泊のお客さまが動きだし、売り上げも何とか作っていけるようになる。ホテルや旅館の経営者はもちろん、スタッフも、希望の光が見えそうになったと「ほっ」とする。しかし、間もなく、次のウイルスの変異による感染拡大が起き、まん延防止重点措置などがとられ、急ブレーキをかけたようにお客さまが激減。また先の見えないトンネルに入る。心が折れそうな状況が繰り返されている。

 この間、感染拡大を防ぐために人との接触を減らし、テレワークやZoomなどを活用した会議も進み、生活様式が変わってきたと実感している。出張のお客さまのマーケットの縮小、書き入れ時の歓送迎会シーズンも3年続けて消滅してしまった。この宴会・会食のマーケットも4名以上の会食ができない環境が2年以上続いている。生活様式の変化で宴会・会食のマーケットが元に戻るのか不安である。

 人とのコミュニケーションという点でも不安が続く。先日、高校の校長先生とお話ししたが、コロナ以前だと生徒さんの顔は全員覚えていたのだが、マスクの着用が徹底され目元しか見えないので、顔が覚えられない。また、生徒さんとの距離感が遠く感じる、と言われていた。マスクの徹底した活用には全く異論はないが、目元しか見えないので新人スタッフの顔が分からない自分がいるのも確かである。

 この距離感、本当にこれでいいのか? 接客業の基本はお客さまとのコミュニケーションではないのか。もっと近い距離間で取り組みたいと自問自答の日々が続いている。

 この状況の打開には、治療薬の問題があるが、新型コロナ感染症の分類を2類相当から5類のインフルエンザと同等の分類に変更してもらうことが必要ではないだろうか。感染対策はこの2年間で十分に浸透してきており、個々人の対応で症状を悪化させることにはならないのではないだろうか。濃厚接触者の概念もそろそろ変えていかなければならない。

 そろそろ、経済活動の復旧を念頭に置いてもよい時期になってきていると考えている。1日も早い変更を切望する。

 (委員・淵村文一郎=鹿児島県鹿児島市・ホテルユニオン)

   ◇    ◇

 【委員会より】

 この2年間で一般人であるわれわれもこの感染症に対する理解を深めてきたのではないでしょうか。特に宿泊業においては、感染対策が徹底されてきており、個人のお客さまにとっては安心してご利用いただける状況が作り出せています。普段から一緒にいるカップルや家族の旅行は推奨されていくべきだと思います。
       

 
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