新型コロナウイルスの影響が出始めて半年以上になるが、いまだに大きな影響を及ぼしており、特に観光業界では今まで経験したことがない先の見えない状況の中で宿泊業は大きな影響を受けている。
4月の緊急事態宣言の発令以来、宿泊施設の多くは休業したり、その後の解除宣言後も利用者は激減し、都心部のホテルは稼働率が昨年の9割減など当たり前に目にするようになった。
ここ数年のインバウンドブームで乱立した都心部のビジネスホテルでは、ホテル業務のマネジメント経験も少なく、経営者の意向でホテル運営の経験がなくてもパソコンやインターネットが得意な30~40歳代前半の支配人を多く採用してきた。
いつの間にかレベニューマネジメントなどという言葉は使われなくなり(使う必要がなくなった)、低稼働の中で彼らの仕事は人員と経費削減に追われ、営業施策も何もかもがコロナ次第と他力本願が多く見受けられる。
一方では、バブル崩壊、阪神淡路大震災、リーマンショックや東日本大震災を経験してきたベテラン支配人たちは、インバウンドバブルの中でも法人・個人顧客を守り、旅行代理店や周辺地域との共生を図ってきた。
彼らは現状を認識しながらコロコロ変わる施策にも柔軟に対応し、今までの既成概念にとらわれないアイデアで、失敗を恐れず1人でも多くのお客さまにご利用いただける商品を作っている。ブームの中で成功体験しか知らない若手支配人とは異なり、多くの失敗を経験したベテランはリカバーの方法も体得している。
いまさらではあるが、ホテル業界も年齢ではなく業務能力で判断できる人材を登用し、この難局を乗り切ってほしいものだ。
(一般社団法人日本宿泊産業マネジメント技能協会会員 株式会社アイ・エヌ・ジー・エンタープライズ ホテル求人ドットコム関西地区担当 吉野修)