仕事の合間を縫って、久しぶりに、中国地方の歴史ある城下町へ、旅に出かけた。
とある神社で、幕末にかけて明治維新より多くの総理大臣をはじめ、多くの立役者を輩出した塾を目の当たりにし、おのおの志士の、改めてその志に浅はかながら感銘を受けつつ、初心新たに老舗の宿へ向かった。宿のお迎えスタッフの対応は素晴らしく、同じ業界に携わる者として厳しく見ても、決して飾りでない、心底心の通ったお迎えができており、スタッフの良い人徳も見て取れる。
宿の第一印象はバッチリである。まさに適材適所だと感じた。
至極、良い気分で温泉に入り、地産地消に役立てるかは定かではないが、地酒を合わせ宿自慢の山海の幸を堪能した。殊更に、気分上々である。
われながら、この上々気分に水を差さぬよう、気を使いながら、あえて言うならば、改めて部屋に戻り火に油を注ぎたいと思い、意気揚々と宿の売店に向かった。
実は手元に、地域振興クーポンが3千円分。
これはこれはと、地元海産物のおつまみを一通り買いそろえ、先ほどの地酒も追加し、ここでも観光業界浮揚と地産地消に役立っているつもりである。お釣りが出ないので、きっちりとうまい買い物をちょうど3千円分ギリギリまで。しかし、5円のビニール袋代までは足りなかった。
仕方なくそれらを抱きかかえるように売店を出る。いつも思うが、ビニール袋もシールなく品物を直接持って出ると、何か悪いことを行っている気分になる。だがしかし、部屋へ戻る途中、腕の隙間から缶ビールと日本酒が飛び出した。後の祭りである。
昨今、SDGsの大義名分?!を名の下に、環境対策や政策が跋扈(ばっこ)しているが、この政策も例外でなく、某元環境大臣の目玉政策だそうである。しかし、日本から毎年排出される廃プラスチックのうち、レジ袋が占める割合は2%程度といわれており、プラスチックごみ全体の量から見ればごくわずかである。おまけに残念ながら、万引きや盗難が増えているとの報告もある。
通常、袋が必要な際は仕方なく購入するが、もちろん無精をした私も悪い。ただ、物事の本質を考えると、お上の愚策に思えるのは私だけだろうか。SDGsという言葉とカッコだけが先行していると思える。
やはり、大臣だろうが課員だろうが、理事・委員長だろうが、適材適所というのはどのようなポジションにおいても、すこぶる大事である。
(一般社団法人日本宿泊産業マネジメント技能協会会員 エバーグリーンインターナショナルホテルズ日本地区代表 諸岡潔)