国内では2020年2月に横浜港から端を発した新型コロナは世界中を震撼(しんかん)させ、今年で4年目に入った。昨年から世界でWithコロナの動きが加速し、国内もワクチン接種の加速と、昨年10月を機に全国旅行支援や海外水際対策も緩和から解除に向かい、昨秋からようやく活況を呈してきた。
3年前の今頃は世界中がゴーストタウンとなり、国内ホテルのRev.PARも千円前後まで下がり、多くのホテル旅館が休業、閉館に追い込まれた。3密という言葉が国内中を巡り、ニューノーマルという3密回避に対応したライフスタイル、ワークスタイルが生まれホテル旅館もそれに応じたサービスや受け入れスタイルに変化していった。
・テレワーク・リモートワークの普及、遠隔VR体験観光や宿泊体験などリモート技術の活用
・オンラインショッピングやデリバリーといった消費行動の変化
・ビデオ会議やスマートホテルシステム等、クラウドソフトによるDXの推進 等々
これらデジタル技術は確実に定着進化していく一方でヒューマンウェアとDXの掛け合わせの活用が今後、観光、ホテル旅館の進歩活性化のキーとなってくる。
また、国内では新型コロナのあおりを受け宿泊業界人口は15万人(2割強)蒸発し、昨秋からの活況に反して未曽有の人材不足に陥っている現実もある。
一方、世界では新型コロナによる観光客の大幅減少により、ハワイ、ベニス、リオ等の有名観光地では水質や観光資源が浄化され、本来の美しい自然と観光地の姿に戻り、これを機にかつてのオーバーツーリズムに制限を掛け、有料予約制にする等、客数制限を掛けながら単価を上げ、収入を担保する動きが主流となっている。かつての量から質への転換である。そして、SDGsが2015年に採択されてから、新型コロナを機にたまたま、サスティナブルな自然環境保護思想が追いつく格好となってきた。
かつて2020東京オリンピックへ向け、異業種参入も含め、加熱した宿の供給過剰が進み、宿泊料金の叩きあいで各ホテルがあえぐ中、国内の主要な街にはインバウンド政策効果で異様なほどの外国人が一定の地域に偏ってあふれかえっていた。あの光景をこの先、戻すことなくオーバーツーリズムを避け、バランスよくエリアに振り分け、稼働を適度に抑え、地域、ホテル旅館エリア一体となった高単価で収益性の高い、持続可能なサスティナブルツーリズムに向かうことがこの先、模索される。
そのためには、国内都市部、地方を問わず、エリア一体となって高付加価値な商品作りへ向けた取り組みが必要であり、そこから適格なお金を落としていただき、滞在する意味を持った新たな顧客体験価値創造=CXをかなえることが可能となる。
スマートホテルシステムやスマート(AI)スピーカー内蔵タブレット等のホテルDXとヒューマンウエアの掛け合わせとさじ加減も効率化とこの先、多様化するCX化に重要である。それにより、この先ホテル開発が進んでも、業界の収益性を高めることも可能となり、業界人の賃金、待遇、職場環境改善も高まり、滞在価値に満足したリピーターがリピーターを呼ぶ高循環が生まれると展望する。
(日本宿泊産業マネジメント技能協会会員 ホスピタリティ・マネジメントコンサルタント代表 丸毛浩一)