【シニアマイスター経営の知恵 172】インバンド誘客戦略に必要なコト 長寿荘 経営企画本部長 上島誉郎


 私が在住する茨城県には、茨城空港(百里基地と供用)があり、3月11日に開港13周年を迎えた。現在、国内線は、スカイマークが札幌、福岡、那覇、神戸路線を運航している。国際線は、コロナ禍で2020年以降、運休が続いていたが、ようやく3月26日から台湾の航空会社、タイガーエア台湾が、茨城と台北を結ぶ定期便を週2便再開させた。これに伴い、現地から同社董事長や台湾観光局東京所長等が来茨し、知事や自治体関係者、観光事業者が出席した運航再開記念祝賀会が、ホテルテラスザガーデン水戸で盛大に開催された。

 この路線再開以前、県は、昨年8月より「開運茨城」をテーマにした当県の食と観光プロモーションを台湾で実施。今年2月には、知事によるトップセールスや、見本市、商談会の開催、サイクリングが盛んな台湾とのサイクリングロード観光友好交流協定締結、また、駅等で実施したジャック広告等、当県の魅力を、県を挙げてアピールしたことで、現地の人たちに、茨城を強く印象付けることができたと考えられる。

 筆者は、現地での「いばらき大商談会」に参加しなかったが、2月13日、県が招請した台湾旅行社ファムトリップ交流会(水戸市)に出席し、台北、高雄の旅行会社と懇談、意見交換する機会を得た。その際、ある担当者から出た言葉は、「北関東の茨城県が台湾に力を入れているのはとてもありがたい。コロナ禍が収束に向かう中、お客さまは大好きな日本への旅行を楽しみにしている。ただ、これからは、単なる観光地訪問や体験ツアー等だけでなく、地元、地域、そして、その土地の人たちと触れ合える場があれば」と話していたのが印象的であった。そのとき、観光事業者として、より質の高い、有意義な旅行、滞在になるよう、さらなる創意工夫が必要であると強く感じた。

 本年後半以降、訪日外国人市場はコロナ禍前の状況に急速に回復することが予想される。特に、地方では大都市以上にインバウンド復活を心待ちにしているところが多い。しかしながら、前述コメントのように、これまで通りのコトを行っていては、デスティネーション競争に負けてしまう。そうならないためには、官民が一層連携を深め、その土地の良さを伝え、共感、満足してもらえる一味違った実効性のある高付加価値ツアーを策定し提供していくことが、今、求められている。

 (日本宿泊産業マネジメント技能協会会員 株式会社長寿荘経営企画本部長 上島誉郎)

 
新聞ご購読のお申し込み

注目のコンテンツ

第38回「にっぽんの温泉100選」発表!(2024年12月16日号発表)

  • 1位草津、2位道後、3位下呂

2024年度「5つ星の宿」発表!(2024年12月16日号発表)

  • 最新の「人気温泉旅館ホテル250選」「5つ星の宿」「5つ星の宿プラチナ」は?

第37回にっぽんの温泉100選「投票理由別ランキング ベスト100」(2024年1月1日号発表)

  • 「雰囲気」「見所・レジャー&体験」「泉質」「郷土料理・ご当地グルメ」の各カテゴリ別ランキング・ベスト100を発表!

2023 年度人気温泉旅館ホテル250選「投票理由別ランキング ベスト100」(2024年1月22日号発表)

  • 「料理」「接客」「温泉・浴場」「施設」「雰囲気」のベスト100軒