・京都の民泊では、欧州からの3人組女性観光客が20連泊中。
・Airbnbが奈良で世界初となる自施設を作り、町と共同で民泊を経営。
・東京のライフスタイルホテルではドレッドヘアのスタッフがバーカウンターの一角でチェックイン、その場でウエルカムドリンクを作ってくれる(会話は英語が90%!?!)。
1月にライフスタイルホテルに泊まり、5月に京都、奈良・吉野の二つの民泊(簡易宿泊)施設を訪れヒアリングを実施。「旅の新しい形」が出てきたということを実感しました。
民泊については、その低価格や安全性からマイナス面ばかりがクローズアップされているようですが、家族・グループ(3~6名前後)が同じところに泊まりたい、気軽に連泊をしたい、旅先と交流したい、いわばAirbnbがうたうように「暮らすように旅をする」層が一定数増えてきているのだと考えています。ライフスタイルホテルの勃興も然り。どう定義するのかはともかく、どこか堅苦しいとも思える「ホテルのルール」に縛られず自由に楽しみたいという層が増えてきた証しとしての認識は必要でしょう。
私が泊まったホテルのロビー・ラウンジの居心地の良さは、その解放感とスタッフが楽しそうに仕事をしていることからきていました。こういった部分は、日本の既存ホテル・旅館の弱いところ。
マリオットが民泊販売を新ブランドとして取り込んだり、体験・地域交流についてもマリオット、ハイアットが注力したり、一方国内では、こういった潮流を理解した新しいホテル経営・運営のプレーヤーが続々と誕生し取り組んでいるのも象徴的。
この流れが一時のはやりに終わるのか、傍流にとどまるのか、大きな潮流をつくるのかは現時点では誰にも分かりません。ただ、既存のホテル・旅館が問題点だけをあげつらうのではなく、旅の形が変わってきていることを認識しビジネスチャンスとして検討するのも必要なことと感じています。
(NPO・シニアマイスターネットワーク会員 流通科学大学人間社会学部観光学科教授、高田宏)